
こんにちは。
元ITエンジニアで現役介護福祉士のやなぎです。
新人教育に関わっていると、教える側も迷う場面があります。
新人さんには分かりやすく伝えたい。
できるだけ不安を減らしてあげたい。
でも、現場では利用者さん一人ひとりの状態も違い、職員ごとの経験や考え方もあります。
そのため、自分では丁寧に教えているつもりでも、別の職員とは伝え方が少し違っていたり、新人さんから見ると「人によって言うことが違う」と感じられたりすることがあります。
これは、誰か一人が悪いという話ではありません。
むしろ、それぞれの指導員が現場の中で一生懸命伝えようとしているからこそ、少しずつ教え方に違いが出ることがあります。
ただ、新人さんにとっては、その違いが大きな不安になることがあります。
今回は、介護現場の新人教育で「教え方がバラバラ」と感じられやすい理由と、指導内容を共有しやすくする方法について考えていきます。
この記事で先にお伝えしたい結論は、教え方を無理にすべて同じにする必要はないということです。
大切なのは、まずその業務で新人さんに何ができるようになってほしいのか、ゴールを決めることです。
たとえば移乗介助であれば、ただ「移乗ができる」ではなく、利用者さんと職員の双方が体を痛めず、安全に移乗できることが大切です。
そのゴールが見えると、
・施設として、介護士として必ず守る基本
・職員が現場経験の中で身につけた工夫
・新人さんに最初に伝える言葉
・一人で任せる前に確認すること
を分けて考えやすくなります。
イメージとしては、
1.ゴールを決める
2.基本を教える。
3.工夫を伝える。
ですね🌱
この記事では、教え方の違いを責めるのではなく、指導内容を共有しやすくするための考え方と、現場で使えるテンプレートを紹介します。
この記事で分かること・すぐ使えるところ(ショートカットリンク)
この記事は、考え方・具体的な進め方・無料テンプレート・AIプロンプトまで入れているため、少し長めです。
最初から順番に読んでも大丈夫ですが、今必要なところから確認できるように、主な内容をまとめました。
介護現場で新人教育をしていると、新人さんからこんな言葉を聞くことがあります。



「昨日はこう教わったんですけど……」
「Aさんには良いと言われたんですが、Bさんには違うと言われました」
「どっちで覚えたらいいですか?」
この言葉を聞いた時、指導員側も少し戸惑うことがあります。
自分は間違ったことを教えたつもりはない。
他の職員も、その人なりに考えて教えている。
でも、新人さんから見ると、教え方がバラバラに感じてしまう。
介護現場の新人教育では、こうしたすれ違いが起きることがあります。
教え方がバラバラになるのは、指導員一人ひとりが悪いからではありません。
それぞれが経験や現場感覚をもとに、一生懸命教えているからこそ、伝え方に違いが出ることがあります。
ただ、新人さんにとっては、その違いが
「施設として必ず守ること」なのか
「その職員の工夫」なのか
「今の自分が最初に覚えるべきこと」なのか
分かりにくいことがあります。
この記事では、介護現場の新人教育で教え方がバラバラになりやすい理由と、新人さんが迷いにくくなる指導内容の共有方法について考えていきます。
あわせて、指導員・リーダー向けに使える
新人介護士教育の指導内容共有シート
の作り方も紹介します。
介護現場の新人教育で「教え方が違う」と感じる場面
介護現場では、指導員によって教え方が違うと感じる場面があります。
たとえば、こんな場面です。
- A先輩には「この順番でいい」と言われたが、B先輩には違うと言われた
- 移乗介助の確認ポイントが人によって違う
- 食事介助で見る場所が職員によって違う
- 記録の書き方を職員ごとに直される
- 報告するタイミングが先輩によって違う
- 物品準備の順番が人によって違う
- 利用者さんへの声かけの言い方が職員ごとに違う
もちろん、介護現場では利用者さん一人ひとりの状態が違います。
そのため、すべてを同じやり方にすることはできません。
職員ごとの経験や工夫が出る場面もあります。
利用者さんとの関係性によって、声かけの言い方が少し変わることもあります。
ただ、新人さんには、その違いの意味がまだ分かりません。
これは施設のルールなのか。
この先輩のやり方なのか。
絶対に守ることなのか。
慣れてきたら工夫してよいことなのか。
そこが見えないまま指導を受けると、新人さんは混乱しやすくなります。
新人さんが困るのは、違いがあることそのものではありません。
その違いが何を意味しているのか分からないことです。


新人さんは「先輩によって言うことが違う」と混乱しやすい
新人さんにとって、指導内容が人によって違うことは大きな不安になります。
たとえば、昨日はA先輩から
「このやり方で大丈夫です」
と言われたのに、今日はB先輩から
「それは違います」
と言われたとします。
この時、新人さんは単に「情報が増えた」とは受け取りにくいです。
むしろ、
「昨日覚えたことは間違っていたのかな」
「自分の理解が悪かったのかな」
「誰の言うことを基準にすればいいんだろう」
「また違うと言われたらどうしよう」
と感じやすくなります。
新人さんは、まだ現場の全体像が見えていません。
利用者さんごとの違いも、施設としての基準も、職員ごとの工夫も、まだ区別しにくい状態です。
そのため、先輩によって言うことが違うと、
「いろいろなやり方があるんだ」
ではなく、
「何が正解か分からない」
と感じやすくなります。
特に新人の頃は、注意された場面が強く残ります。
昨日できたと思ったことが、今日は違うと言われる。
その繰り返しがあると、新人さんは少しずつ自信を失いやすくなります。
そして、次第に
「この先輩の時はこうしよう」
「あの先輩の時は違うやり方にしよう」
と、人に合わせて動こうとすることがあります。
でも、本来新人さんに最初に必要なのは、先輩ごとの対応を覚えることではありません。
まず必要なのは、施設として大切にしている基本や、安全に関わる基準を分かりやすく知ることなんですよね。


指導員側も、自分の経験をもとに一生懸命教えている
一方で、指導員側も適当に教えているわけではありません。
教え方がバラバラに見える場面でも、指導員一人ひとりには理由があります。
- 自分が教わってきた方法で伝えている
- 現場でうまくいっている方法を教えている
- 利用者さんごとの特徴を踏まえて伝えている
- 安全面を重視して伝えている
- マニュアルには書かれていない細かな判断を伝えている
- 自分なりに新人さんに分かりやすく伝えようとしている
介護現場では、マニュアルだけでは説明しきれないことが多くあります。
利用者さんの表情。
立ち上がる前の少しの動き。
声かけへの反応。
いつもと違う食事中の様子。
記録には残りにくい小さな変化。
こうしたものを、指導員は経験の中で見ています。
そのため、指導員は自分の経験をもとに、
「ここを見ておいた方がいい」
「この声かけの方が伝わりやすい」
「この順番で準備すると慌てにくい」
と教えます。
それ自体は、とても大切なことです。
ただ、その経験や工夫が、施設として必ず守る基準と混ざって伝わると、新人さんには分かりにくくなります。
指導員側は工夫として伝えている。
新人さん側はルールとして受け取る。
ここに、教え方がバラバラに感じられる原因があります。
教え方がバラバラに見えるのは、基準と工夫が混ざっているから
介護現場の新人教育で教え方がバラバラに見える理由の一つは、
施設として必ず守ることと、職員ごとの工夫が混ざっていることです。
たとえば、移乗介助で考えてみます。
施設として必ず確認したいことは、
- 車椅子のブレーキ
- 利用者さんの足元
- 立ち上がる前の声かけ
- 体調や表情の変化
- ふらつきの有無
- 安全な位置取り
などです。
これらは、安全に関わるため、指導員によって大きく変えない方がよい部分です。
一方で、職員ごとの工夫として残してよいこともあります。
- 声かけの細かな言い回し
- 物品を置く位置
- 自分が確認しやすい順番
- 利用者さんとの関係性に合わせた話し方
- メモの取り方
- 説明の仕方
こうした部分には、職員の経験や得意な伝え方が出ます。
問題は、この二つが混ざったまま新人さんに伝わることです。
指導員は「これは自分の工夫」と思っていても、
新人さんは「これも必ず守るルールなんだ」と受け取ることがあります。
反対に、指導員が「これは必ず守ってほしい」と思って伝えたことが、
新人さんには「この先輩だけが気にしていることなのかな」と見えてしまう場合もあります。
では、どうすれば新人さんが迷いにくくなるのでしょうか。
ここで大切なのは、いきなり手順を統一しようとすることではありません。
まずは、その業務で新人さんに何ができるようになってほしいのかを言葉にすることです。
たとえば移乗介助なら、単に「移乗ができる」ではなく、
利用者さんと職員の双方が体を痛めず、安全に移乗できること
が大切です。
このゴールが見えると、施設として守る基本と、職員が現場経験の中で身につけた工夫を分けて考えやすくなります。


指導内容を共有するには、まず業務ごとのゴールを決める
教え方がバラバラになる悩みを減らすには、いきなり細かい手順から考えるよりも、まずはその業務で何ができるようになればよいのかを決めることが大切です。
たとえば移乗介助であれば、目指したい状態は「安全に移乗できること」です。
ただ、「安全に」と言うだけでは少し曖昧です。
もう少し具体的にすると、
利用者さんが車椅子やベッド、手すりなどに体をぶつけたり、腕や足をひねったりせず、不安や恐怖感をなるべく少なく移乗できること。
そして、介助する職員も腰や膝などを痛めず、無理の少ない姿勢で介助できること。
という見方ができます。
このようにゴールが決まると、指導内容を分けて考えやすくなります。
なぜなら、ゴールがあることで、
- 施設として必ず守ること
- 介護士として安全面から確認すること
- 職員が現場経験の中で身につけた、よりやりやすい方法
を分けやすくなるからです。
たとえば、移乗介助のゴールが「利用者さんと職員の双方が体を痛めず、安全に移乗できること」だとします。
そのゴールに向かうために、施設として・介護士として必ず守るべきことがあります。
- 車椅子のブレーキを確認する
- 利用者さんの足元を確認する
- 移乗先に体をぶつける危険がないか見る
- 立ち上がる前に声をかける
- ふらつきや表情の変化を見る
- 職員自身も腰だけで抱え込まない
- 一人で難しい時は応援を呼ぶ
これらは、職員ごとの好みで変えるものではなく、安全のために共通して確認したい部分です。
一方で、そのゴールにたどり着くために、職員が現場経験の中で身につけた工夫もあります。
- 声かけの細かな言い回し
- 立ち位置の微調整
- 手を添える位置の説明の仕方
- 利用者さんが安心しやすい間の取り方
- 物品を置く位置
- 自分が確認しやすい順番
これらは、施設として必ず同じにしなければいけないものではなく、職員ごとの経験から生まれた工夫です。
もちろん、その工夫自体も大切です。
ただ、新人さんに最初からすべてを同じ重さで伝えてしまうと、何が基本で、何が応用なのか分かりにくくなります。
だからこそ、指導員側はまず、
- この業務のゴールは何か
- そのゴールのために必ず守ることは何か
- 職員ごとの工夫として伝えてよいことは何か
を分けて考える必要があります。
新人さんにとって必要なのは、先輩ごとの正解を覚えることではありません。
まずは、施設として・介護士として大切にしている基本を知ること。
そのうえで、職員ごとの工夫や利用者さんに合わせた関わり方を、少しずつ学んでいくこと。
この順番にすると、教え方の違いが「混乱」ではなく、「基本の上にある工夫」として受け取りやすくなります。


施設として守る基本と、職員ごとの工夫を分ける手順
ここからは、指導内容をどのように分けていくかを、順番に見ていきます。
1. まず「何ができるようになればよいか」を決める
最初に決めるのは、細かい手順ではなく、その業務のゴールです。
たとえば、次のように考えます。
| 場面 | 目指す状態 |
|---|---|
| 移乗介助 | 利用者さんと職員の双方が、体を痛めず安全に移乗できる |
| 食事介助 | 姿勢や食形態、むせの有無を確認しながら安心して食事できる |
| 排泄介助 | プライバシーと安全を守りながら、安心して排泄できる |
| 記録 | 起きた事実と対応を、他職員が見ても分かる形で残せる |
| 報告 | 必要な変化を、必要な相手に、遅れず伝えられる |
ここが曖昧なままだと、指導員ごとに見る場所が変わりやすくなります。
移乗介助を教える時に、ある指導員はブレーキ確認を中心に伝える。
別の指導員は立ち位置を中心に伝える。
また別の指導員は声かけを中心に伝える。
どれも大切です。
ただ、新人さんから見ると、
結局、何を一番大事に覚えればいいのか分からない。
と感じやすくなります。
だからこそ、最初に「この業務で目指す状態」を言葉にしておくことが大切です。
2. ゴールのために必要な確認を出す
次に、そのゴールにたどり着くために必要な確認を出します。
移乗介助なら、目指す状態は
利用者さんと職員の双方が、体を痛めず安全に移乗できること。
です。
そのために必要な確認としては、次のようなものがあります。
- 車椅子のブレーキは確認できているか
- 利用者さんの足の位置は安全か
- 手や腕をひねる姿勢になっていないか
- 移乗先に体をぶつける危険はないか
- 立ち上がる前に声をかけているか
- ふらつきや表情の変化を見ているか
- 職員自身が腰だけで支えようとしていないか
- 膝や腰に負担がかかりすぎる姿勢になっていないか
- 一人で難しい場合に応援を呼べるか
この段階では、まだ「誰のやり方が正しいか」を決める必要はありません。
まずは、ゴールに向かうために必要な確認を出します。
3. 施設として・介護士として必ず守る基本を決める
必要な確認を書き出したら、その中から新人さんに最初に共通して伝えたい基本を決めます。
ここは、職員ごとの好みや経験だけで変えない方がよい部分です。
移乗介助なら、たとえば次のような内容です。
- ブレーキ確認
- 足元確認
- 移乗先の確認
- 立ち上がる前の声かけ
- ふらつきの確認
- 職員自身の姿勢
- 不安な時に応援を呼ぶこと
新人さんには、こう伝えると分かりやすいです。
移乗介助では、利用者さんと職員の双方が安全に移乗できることを大切にします。
そのために、まずはブレーキ、足元、移乗先、声かけ、ふらつき、職員自身の姿勢を一緒に確認していきましょう。
このように伝えると、単なるチェック項目ではなく、目的と確認内容が繋がります。


4. 職員ごとの工夫は「基本のあと」に伝える
施設として・介護士として共通して伝える基本を決めたら、次に職員ごとの工夫を分けます。
職員ごとの工夫は、現場経験の中で身についた大切な知恵です。
たとえば、
- この利用者さんには、先に声をかけて少し待つと安心されやすい
- この位置に立つと、職員の腰への負担が少ない
- 物品を先にここへ置いておくと慌てにくい
- この言い方の方が伝わりやすい
- この順番で確認すると抜けにくい
こうした工夫は、現場で働く中で身についたものです。
ただし、新人さんに最初から全部を伝えると、情報が多くなりすぎます。
そのため、伝える時はこう添えると分かりやすくなります。
これは私が現場でやりやすいと感じている工夫です。
まずは施設として共通して確認する基本を覚えて、慣れてきたら少しずつ取り入れていきましょう。
この一言があると、新人さんは
これは絶対のルールではなく、先輩の経験からくる工夫なんだ。
と受け取りやすくなります。
5. 新人さんに伝える時は「基本」と「工夫」を分けて言う
実際に新人さんへ伝える時は、次のように説明すると分かりやすくなります。
【基本】
移乗介助では、まず施設として必ず確認する部分があります。
ブレーキ、足元、移乗先、声かけ、ふらつき、職員自身の姿勢です。
ここはどの職員でも共通して大切にしている部分です。
そのうえで、
【工夫】
立ち位置や声かけの細かな言い方は、職員によって少し違うことがあります。
それは、それぞれが現場で身につけてきた工夫です。
最初は基本を覚えて、慣れてきたら自分に合う方法を一緒に考えていきましょう。
と伝えると、新人さんは混乱しにくくなります。
「A先輩とB先輩で違う」ではなく、
「共通して守る基本」と「職員ごとの工夫」があるのだと理解しやすくなります。
新人教育で指導内容を共有するための進め方
ここまでの考え方を、現場で使いやすい形にするには、指導内容を紙やExcelで共有できるようにしておくと便利です。
ただ、最初から完璧な資料を作ろうとすると負担が大きくなります。
まずは、小さく始めることが大切です。
1. 新人さんが迷いやすい場面を一つ選ぶ
最初からすべての業務を見直す必要はありません。
まずは、新人さんが特に迷いやすい場面を一つ選びます。
たとえば、
- 移乗介助
- 食事介助
- 排泄介助
- 記録
- 報告
- 声かけ
- 申し送り
などです。
おすすめは、安全に関わる場面や、新人さんから質問が出やすい場面から始めることです。
2. 指導員同士で短く確認する
次に、その場面について指導員同士で短く確認します。
長い会議にしなくても大丈夫です。
たとえば、移乗介助なら、
移乗介助では、利用者さんと職員の双方が安全に移乗できることを大切にしましょう。
新人さんには、まずブレーキ・足元・移乗先・声かけ・ふらつき・職員自身の姿勢を共通して伝えましょう。
立ち位置や声かけの細かな工夫は、職員ごとの工夫として伝えましょう。
このくらいの確認でも、指導内容は見えやすくなります。
3. 共有シートに残す
口頭だけで共有すると、あとから抜けやすくなります。
そのため、共有シートに残しておくと使いやすくなります。
共有シートには、
- この業務のゴール
- ゴールに必要な確認
- 施設として・介護士として必ず守る基本
- 職員ごとの工夫でよいこと
- 新人さんに最初に伝える言葉
- 一人で任せる前に確認すること
を書いておきます。
こうしておくと、指導員が変わっても、新人さんに共通して伝えたい内容を確認しやすくなります。
4. 必要に応じて見直す
介護現場は、日々状況が変わります。
利用者さんの状態が変わることもあります。
職員体制が変わることもあります。
施設のルールや記録方法が変わることもあります。
そのため、一度作った共有シートも、作って終わりではなく、必要に応じて見直すことが大切です。
特に、
- 新人さんが同じところで迷っている
- 指導員によって伝え方が大きく違う
- 事故やヒヤリハットにつながりそうな場面がある
- 施設内の手順が変わった
こうした時は、共有シートを見直すタイミングです。
完璧な資料を作ることよりも、現場に合わせて使いやすくしていくことが大切です。
無料テンプレート|指導内容共有シート・進捗確認シート・利用者別一覧表
無料Excelテンプレートを用意しました
この記事で紹介している内容を、現場で使いやすいようにExcelテンプレートにまとめました。
テンプレートには、以下の3つのシートを入れています。
- 指導員同士で教える内容を共有する「指導内容共有シート」
- 新人さんの段階を確認する「進捗確認シート」
- 利用者さんごとの介助状況を一覧で見られる「利用者別・介助習得一覧表」
必要に応じて、施設のルールや現場の状況に合わせて編集してお使いください。
⇩無料Excelテンプレートをダウンロードする⇩
この記事の内容を現場で使いやすくするために、無料テンプレートは3つに分けて作成します。
1つ目は、指導員・リーダー向けの
新人介護士教育の指導内容共有シート
です。
これは、業務ごとのゴールや、施設として・介護士として守る基本、職員ごとの工夫を共有するためのシートです。
2つ目は、新人さんの段階を確認する
新人介護士教育の進捗確認シート
です。
これは、見学、一緒に実施、見守り、一人で任せる前の確認など、新人さんが今どの段階にいるかを整理するためのシートです。
3つ目は、利用者さんごとに介助の習得状況を一覧で見られる
利用者別・介助習得一覧表
です。
これは、新人さんがどの利用者さんの介助をどこまで経験しているかを、一目で確認するための一覧表です。
指導員側の基準、業務ごとの進み具合、利用者さんごとの対応状況を分けて見られるようにすることで、指導員も新人さんも次に確認することが分かりやすくなります。


1. 新人介護士教育の指導内容共有シート
指導内容共有シートは、指導員同士で「何を新人さんに共通して伝えるか」を確認するためのシートです。
新人さんへ直接見せるというより、指導員・リーダー側で使う資料です。
このシートでは、まず業務ごとのゴールを決めます。
たとえば移乗介助なら、単に「移乗ができる」ではなく、
利用者さんと職員の双方が、体を痛めず安全に移乗できること
をゴールとして考えます。
そのうえで、ゴールに必要な確認、施設として・介護士として守る基本、職員ごとの工夫を分けて記入します。
シートに入れる項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 介助・業務場面 | 移乗介助、食事介助、排泄介助、記録、報告など |
| この業務のゴール | 新人さんが何をできるようになればよいか |
| ゴールに必要な確認 | その状態に近づくために見ること |
| 施設として・介護士として必ず守る基本 | 指導員ごとに大きく変えない方がよい内容 |
| 職員ごとの工夫でよいこと | 現場経験からくるやりやすい方法やコツ |
| 新人さんに最初に伝える言葉 | ゴールと基本をセットで伝える説明 |
| 一人で任せる前に確認すること | 独り立ち前に見るポイント |
| 注意・補足 | 個別対応や別資料で確認する内容 |
| 更新日 | 内容を見直した日 |
| 確認者 | リーダー、指導員など |
記入例:移乗介助
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 介助・業務場面 | 移乗介助 |
| この業務のゴール | 利用者さんと職員の双方が、体を痛めず安全に移乗できる |
| ゴールに必要な確認 | ブレーキ、足元、移乗先、声かけ、ふらつき、表情、職員自身の姿勢 |
| 施設として・介護士として必ず守る基本 | ブレーキ確認、足元確認、移乗先確認、立ち上がる前の声かけ、ふらつき確認、不安時に応援を呼ぶ |
| 職員ごとの工夫でよいこと | 声かけの細かな言い方、立ち位置の微調整、物品の置き方、確認しやすい順番 |
| 新人さんに最初に伝える言葉 | 移乗介助では、利用者さんと職員の双方が安全に移乗できることを大切にします。まずはブレーキ、足元、移乗先、声かけを一緒に確認しましょう。 |
| 一人で任せる前に確認すること | ブレーキ・足元・移乗先を確認できる。不安な時に応援を呼べる。危険があれば報告できる。 |
| 注意・補足 | 利用者さんごとの個別情報は、施設内のルールに沿って別資料で管理する |
| 更新日 | 2026/○/○ |
| 確認者 | リーダー、指導員 |
このシートを使うことで、指導員ごとの教え方の違いを責めるのではなく、
「どこを共通して伝えるか」
「どこは職員ごとの工夫として残してよいか」
を確認しやすくなります。
2. 新人介護士教育の進捗確認シート
進捗確認シートは、新人さんが今どの段階にいるかを確認するためのシートです。
指導内容共有シートが「教える側の基準」を確認するための資料だとすると、進捗確認シートは「新人さんの今の状態」を見るための資料です。
新人教育では、いきなり「できる・できない」で判断すると、新人さんも指導員も不安になりやすいです。
そのため、次のように段階を分けて確認します。
| 段階 | 意味 |
|---|---|
| 未実施 | まだその業務を行っていない |
| 見学 | 指導員の動きを見て学んだ |
| 一緒に実施 | 指導員と一緒に行った |
| 見守り | 指導員が近くで見守る中で実施した |
| 一人でOK | 基本を守り、不安時に相談・報告できる状態 |
必要に応じて、要確認や対象外も使えるようにしておくと、現場の状況に合わせやすくなります。
シートに入れる項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業務場面 | 移乗介助、食事介助、排泄介助など |
| 業務のゴール | 何ができるようになればよいか |
| 現在の段階 | 未実施、見学、一緒に実施、見守り、一人でOKなど |
| できていること | 新人さんの前進や確認できたこと |
| まだ不安なこと | 新人さん本人・指導員側の不安 |
| 次に一緒に見ること | 次回の指導内容 |
| 一人で任せる前に確認すること | 独り立ち前に見たいポイント |
| 指導員コメント | 評価ではなく次に繋げる内容 |
| 確認日 | 確認した日 |
| 担当指導員 | 誰が確認したか |
記入例:移乗介助
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 業務場面 | 移乗介助 |
| 業務のゴール | 利用者さんと職員の双方が、体を痛めず安全に移乗できる |
| 現在の段階 | 見守り |
| できていること | 声かけ、ブレーキ確認、足元確認は意識できている |
| まだ不安なこと | ふらつきがある利用者さんへの対応に不安あり |
| 次に一緒に見ること | ふらつきがある時の中止判断と応援依頼 |
| 一人で任せる前に確認すること | 不安な時に無理をせず応援を呼べるか、危険があった時に報告できるか |
| 指導員コメント | 次回は、無理に進めず応援を呼ぶ判断を一緒に確認する |
| 確認日 | 2026/○/○ |
| 担当指導員 | ○○ |
このシートでは、できていない部分だけを見るのではなく、できていることも残します。
新人さんにとっても、指導員にとっても、今どこまで進んでいるのかが見えやすくなります。
3. 利用者別・介助習得一覧表
利用者別・介助習得一覧表は、新人さんがどの利用者さんに対して、どの介助をどこまで経験しているかを一覧で見るための表です。
進捗確認シートは、1つの業務を丁寧に見るのに向いています。
一方で、実際の現場では、
この新人さんは、Aさんの移乗介助はどこまでできるのか
Bさんの食事介助は見守りで入っているのか
Cさんの排泄介助はまだ見学なのか
といったことを、利用者さんごとに確認したい場面があります。
そのため、利用者さんごとに介助の進み具合を見られる一覧表も用意しておくと便利です。
進捗の表記
一覧表では、略語ではなく、見てすぐ分かる言葉で管理します。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| 未実施 | まだその利用者さんの介助に入っていない |
| 見学 | 指導員の介助を見て学んだ |
| 一緒に実施 | 指導員と一緒に介助した |
| 見守り | 指導員が近くで見守る中で実施した |
| 一人でOK | 基本を守り、不安時に相談・報告できる状態 |
| 要確認 | 一人でOKにする前に、もう一度確認したい |
| 対象外 | その新人さんが担当しない介助・利用者さん |
「未」「見」「可」のような略語にすると、見る人によって意味が分かりにくくなることがあります。
そのため、この一覧表では、未実施・見学・一緒に実施・見守り・一人でOKのように、そのまま読んで分かる表記にします。
シートに入れる項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用者 | 利用者A、利用者Bなど、個人が特定されない表記 |
| 食事介助 | 未実施、見学、一緒に実施、見守り、一人でOKなど |
| 移乗介助 | 未実施、見学、一緒に実施、見守り、一人でOKなど |
| 排泄介助 | 未実施、見学、一緒に実施、見守り、一人でOKなど |
| 入浴介助 | 未実施、見学、一緒に実施、見守り、一人でOKなど |
| 更衣介助 | 未実施、見学、一緒に実施、見守り、一人でOKなど |
| 記録 | 未実施、見学、一緒に実施、見守り、一人でOKなど |
| 報告 | 未実施、見学、一緒に実施、見守り、一人でOKなど |
| 次に確認すること | 次回一緒に見る内容 |
| 最終確認日 | 最後に確認した日 |
| 担当指導員 | 誰が確認したか |
記入例
| 利用者 | 食事介助 | 移乗介助 | 排泄介助 | 入浴介助 | 更衣介助 | 記録 | 報告 | 次に確認すること | 最終確認日 | 担当指導員 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 利用者A | 見守り | 一緒に実施 | 見学 | 未実施 | 未実施 | 要確認 | 一人でOK | 移乗時の足元確認 | 5/20 | ○○ |
| 利用者B | 一人でOK | 見守り | 一緒に実施 | 未実施 | 見学 | 要確認 | 一人でOK | 排泄前後の声かけ | 5/21 | ○○ |
| 利用者C | 見学 | 見学 | 未実施 | 未実施 | 未実施 | 未実施 | 要確認 | 食事姿勢の確認 | 5/22 | ○○ |
この一覧表があると、指導員やリーダーが新人さんの進み具合を確認しやすくなります。
また、勤務する職員が変わった時でも、
「この新人さんは、どの利用者さんのどの介助をどこまで経験しているのか」
を確認しやすくなります。


3つのシートの使い分け
3つのシートは、それぞれ役割が違います。
| シート | 使う目的 | 主に使う人 |
|---|---|---|
| 指導内容共有シート | 教える内容のゴール・基本・工夫を共有する | 指導員・リーダー |
| 進捗確認シート | 業務ごとの成長段階を確認する | 指導員・新人さん |
| 利用者別・介助習得一覧表 | 利用者さんごとに、できる介助を一覧で見る | 指導員・リーダー・フロア職員 |
まず、指導内容共有シートで、教える側が「何を共通して伝えるか」を確認します。
次に、進捗確認シートで、新人さんが今どの段階にいるかを業務ごとに確認します。
最後に、利用者別・介助習得一覧表で、利用者さんごとの介助状況を一覧で確認します。
この3つに分けることで、指導内容、新人さんの進み具合、利用者さんごとの対応状況を分けて見やすくなります。
個人情報の扱いには注意する
利用者別の一覧表は便利ですが、個人情報の扱いには注意が必要です。
施設内で使う場合は、施設のルールに沿って管理してください。
外部に持ち出す場合や、AIに入力する場合は、利用者さんの氏名、居室番号、病名、詳しい生活歴など、個人が特定される情報は入れないようにしてください。
配布テンプレートでは、利用者名をそのまま書くのではなく、
利用者A・利用者B
のように、個人が分からない形で使うことをおすすめします。
AI活用|指導内容共有シートを作りやすくするプロンプト
新人介護士教育の指導内容共有シートは、指導員同士で教える内容を共有するためのシートです。
ただ、実際に作ろうとすると、
「この業務のゴールは何を書けばいいのか」
「施設として守る基本と、職員ごとの工夫をどう分ければいいのか」
「新人さんに最初にどう説明すればいいのか」
と迷うことがあります。
特に、指導に慣れていない方にとっては、頭の中にある経験や感覚を言葉にするだけでも難しい場合があります。
そこで、AIを使って、指導内容共有シートのたたき台を作る方法があります。
AIに判断を任せるのではなく、指導員が考えるための下書きを作ってもらうという使い方です。
コピペして使えるプロンプト
以下のプロンプトは、業務場面や現場で大切にしたいことを入力すれば、そのまま使えます。
介護現場の新人教育で使う「指導内容共有シート」を作りたいです。
以下の内容をもとに、新人介護士に教える内容を整理してください。
いきなり手順だけを並べるのではなく、
1. この業務で新人さんができるようになるべきゴール
2. そのゴールを達成するために必要な確認
3. 施設として・介護士として必ず守る基本
4. 職員が現場経験の中で身につけた工夫として分けてよいこと
5. 新人さんに最初に伝える言葉
6. 一人で任せる前に確認したいこと
7. 注意・補足
に分けてください。
安全面を優先し、新人さんや指導員を責める表現は避けてください。
利用者さんの氏名、施設名、病名、居室番号など、個人が特定される情報は入れない前提で作成してください。
【業務場面】
ここに入力:
例)移乗介助、食事介助、排泄介助、記録、報告など
【この業務で大切にしたいこと】
ここに入力:
例)利用者さんが安全に移乗できること。職員も腰や膝を痛めず介助できること。
【現場でよく指導している内容】
ここに入力:
例)
・
・
・
【新人さんが迷いやすいところ】
ここに入力:
例)
・
・
・
【職員によって少し違う教え方や工夫】
ここに入力:
例)
・
・
・
【一人で任せる前に確認したいこと】
ここに入力:
例)
・
・
・
出力は、以下の表の形にしてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 介助・業務場面 | |
| この業務のゴール | |
| ゴールに必要な確認 | |
| 施設として・介護士として必ず守る基本 | |
| 職員ごとの工夫でよいこと | |
| 新人さんに最初に伝える言葉 | |
| 一人で任せる前に確認すること | |
| 注意・補足 | |
入力例:移乗介助の場合
移乗介助で使う場合は、次のように入力できます。
【業務場面】
移乗介助
【この業務で大切にしたいこと】
利用者さんが車椅子やベッド、手すりなどに体をぶつけたり、腕や足をひねったりせず、不安や恐怖感をなるべく少なく移乗できること。
介助する職員も腰や膝などを痛めず、無理の少ない姿勢で介助できること。
【現場でよく指導している内容】
・車椅子のブレーキを確認する
・利用者さんの足元を見る
・移乗先に体をぶつける危険がないか確認する
・立ち上がる前に声をかける
・ふらつきがある時は無理に進めない
・一人で難しい時は応援を呼ぶ
・職員自身も腰だけで支えない
【新人さんが迷いやすいところ】
・ブレーキ確認と足元確認の順番
・どのタイミングで声をかけるか
・ふらつきがある時に中止するか続けるか
・一人で対応してよいか、応援を呼ぶべきか
【職員によって少し違う教え方や工夫】
・声かけの言い方
・立ち位置の細かな違い
・物品を置く場所
・手を添える位置の説明
・確認する順番
【一人で任せる前に確認したいこと】
・ブレーキと足元を確認できる
・移乗先に危険がないか見られる
・立ち上がる前に声かけができる
・ふらつきや表情の変化に気づける
・不安な時に応援を呼べる
・危険があれば報告できる
出力イメージ
AIに入力すると、たとえば次のようなたたき台を作れます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 介助・業務場面 | 移乗介助 |
| この業務のゴール | 利用者さんが体をぶつけたり、腕や足をひねったりせず、安心して移乗できる。職員も腰や膝に無理な負担をかけず、安全な姿勢で介助できる。 |
| ゴールに必要な確認 | ブレーキ、足元、移乗先、声かけ、ふらつき、表情、職員自身の姿勢、一人で難しい時に応援を呼べるか。 |
| 施設として・介護士として必ず守る基本 | ブレーキ確認、足元確認、移乗先の確認、立ち上がる前の声かけ、ふらつきの確認、無理に一人で介助しないこと、危険があれば報告すること。 |
| 職員ごとの工夫でよいこと | 声かけの細かな言い方、立ち位置の微調整、手を添える位置の説明、物品を置く場所、自分が確認しやすい順番。 |
| 新人さんに最初に伝える言葉 | 移乗介助では、利用者さんと職員の双方が安全に移乗できることを大切にします。まずはブレーキ、足元、移乗先、声かけ、ふらつきを一緒に確認していきましょう。 |
| 一人で任せる前に確認すること | ブレーキ・足元・移乗先を確認できる。不安な時に応援を呼べる。利用者さんのふらつきや表情の変化に気づける。危険があれば報告できる。 |
| 注意・補足 | 利用者さんごとの個別の注意点は、施設内のルールに沿って別資料で管理する。 |
【困ったらこれ💡】入力内容が思いつかない時のプロンプト
指導員側でも入力内容がうまく出てこない場合は、先にAIに質問してもらう形も使えます。
介護現場の新人教育で使う「指導内容共有シート」を作りたいです。
ただ、まだ内容をうまく書き出せていません。
以下の業務について、
指導内容共有シートを作るために、私に確認すべき質問を順番に出してください。
質問は、指導に慣れていない人でも答えやすい言葉にしてください。
一度にたくさん質問せず、項目ごとに整理してください。
【業務場面】
ここに入力:
例)移乗介助
確認したい項目は以下です。
1. この業務で新人さんができるようになるべきゴール
2. そのゴールを達成するために必要な確認
3. 施設として・介護士として必ず守る基本
4. 職員が現場経験の中で身につけた工夫として分けてよいこと
5. 新人さんに最初に伝える言葉
6. 一人で任せる前に確認したいこと
安全面を優先し、新人さんや指導員を責める表現は避けてください。
個人情報が分かる内容は聞かないでください。
このプロンプトを使うと、AIが質問形式で整理を手伝ってくれます。
たとえば、
- この業務で一番避けたい危険は何ですか?
- 新人さんが最初に確認できるようになってほしいことは何ですか?
- 職員ごとに少し違ってもよい工夫はありますか?
- 一人で任せる前に、どこを見たいですか?
のように聞いてくれるため、指導内容共有シートを作りやすくなります。
AIの回答を見る時のポイント
AIが作った内容は、そのまま正解として使うものではありません。
あくまで、指導員やリーダーが確認するためのたたき台です。
確認する時は、次の点を見てください。
- 自分たちの施設のルールと合っているか
- 安全面で足りない確認はないか
- 利用者さんごとの個別対応と混ざっていないか
- 新人さんに最初から伝えるには情報が多すぎないか
- 職員ごとの工夫まで「必ず守ること」に入っていないか
- 一人で任せる前の確認が曖昧になっていないか
AIの回答を見ながら、
「これは施設として共通で伝えたい」
「これは職員ごとの工夫として残そう」
「これは新人さんには慣れてから伝えよう」
と話し合うと、指導内容共有シートを作りやすくなります。


Q&A|介護現場の新人教育で教え方がバラバラな時の疑問
- 指導員によって教え方が違うのは悪いことですか?
-
悪いこととは限りません。
経験や工夫があるからこそ、教え方に違いが出る場合もあります。
ただし、安全に関わる部分や新人さんが迷いやすい部分は、施設として共有しておく方が安心です。
すべてを同じにする必要はありませんが、共通して伝える基準は持っておくと、新人さんが学びやすくなります。
- 全員の教え方を同じにする必要がありますか?
-
完全に同じにする必要はありません。
揃えるべきなのは、利用者さんの安全や施設の基準に関わる部分です。
声かけの言い回しや細かな工夫は、職員ごとの違いがあってもよい場合があります。
大切なのは、新人さんにとって
「ここは必ず守ること」
「ここは職員ごとの工夫」が分かるように伝えることです。
- 施設として守ることと、職員ごとの工夫はどう分ければいいですか?
-
まず、その業務のゴールを決めます。
たとえば移乗介助なら、
「利用者さんと職員の双方が、体を痛めず安全に移乗できること」
です。そのゴールに必要な確認のうち、安全や報告、記録に関わるものは、施設として・介護士として必ず守る基本にします。
一方で、声かけの細かな言い回しや、物品の置き方、自分が確認しやすい順番などは、職員ごとの工夫として分けると考えやすくなります。
- 進捗は「できる・できない」で判断してもいいですか?
-
できる・できないの二択だけで見ると、新人さんの現在地が分かりにくくなることがあります。
そのため、
- 未実施
- 見学
- 一緒に実施
- 見守り
- 一人でOK
のように段階を分けて見る方が、指導員も新人さんも確認しやすくなります。
特に「見守り」の段階を入れることで、すぐに一人で任せるのではなく、基本を確認しながら次の段階へ進めやすくなります。
- 新人さんから「Aさんにはこう言われました」と言われたらどう返せばいいですか?
-
まずは、教えてくれたことを受け止めます。
教えてくれてありがとうございます。
そこは伝え方が少し違っていたかもしれません。
施設として必ず守ることと、職員ごとの工夫を一緒に確認しましょう。このように返すと、新人さんは話しやすくなります。
反対に、他の職員の教え方をその場で否定すると、新人さんはさらに混乱しやすくなります。
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まとめ|教え方を揃える前に、まずゴールと基本を共有する
介護現場の新人教育では、指導員によって教え方が違うと感じる場面があります。
それは、指導員が悪いからとは限りません。
それぞれが経験や現場感覚をもとに、新人さんへ分かりやすく伝えようとしているからこそ、教え方に違いが出ることがあります。
ただ、新人さんにはその違いの意味が分かりにくいです。
施設として必ず守ることなのか。
職員ごとの工夫なのか。
慣れてから考えればよい応用なのか。
そこが見えないままだと、新人さんは「何を基準に覚えればいいのか分からない」と感じやすくなります。
だからこそ大切なのは、全員の教え方を完全に同じにすることではありません。
まず、その業務のゴールを共有することです。
移乗介助なら、利用者さんと職員の双方が体を痛めず安全に移乗できること。
食事介助なら、姿勢や食形態、むせの有無を確認しながら安心して食事できること。
記録なら、起きた事実と対応を他職員が見ても分かる形で残せること。
このようにゴールが見えると、施設として・介護士として必ず守る基本と、職員ごとの工夫を分けやすくなります。
さらに、進捗確認シートや利用者別の一覧表を使うことで、新人さんが今どの段階にいるのか、どの利用者さんの介助をどこまで経験しているのかも見えやすくなります。
新人教育は、一人の指導員だけで支えるものではありません。
新人さんが迷わず学べるようにするためには、教える側も同じ方向を見られる形が必要です。
教え方を完全に同じにすることは難しくても、
「この業務で何を目指すのか」
「ここだけは一緒に伝えよう」
「ここは職員ごとの工夫として残そう」
と分けて考えるだけで、新人さんの受け取りやすさは変わります。
この記事やテンプレートが、介護現場の新人教育を少しでも進めやすくする助けになれば嬉しいです。
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