
こんにちは!
元ITエンジニアで現役介護福祉士のやなぎです。
介護現場では、何か問題が起こるたびに新しいチェック表が増えていくことがありますよね。
安全のために必要な場合もありますが、しばらく経つと、
- なぜこの用紙を書いているのか分からない
- 似た内容を別の表にも書いている
- 忙しい時間帯ほど記入が抜ける
- 書類は増えたのに、確認しやすくなっていない
という状態になることがあります。
僕が特養で主任をしていた頃にも、センサーの電源が入っているかを確認する表や、体位交換を実施したか記録する表が、それぞれ別に作られていました。
どちらも必要な確認ですが、「確認が必要なこと」と「専用のチェック表を一枚ずつ作ること」は同じではありません。
そこで、フロアで普段から使っていた排泄・食事表へ必要な項目をまとめ、別紙のチェック表を減らしました。
その結果、書く回数が減っただけでなく、記入漏れも少なくなりました。
この記事では、このときにどのように考え、何を残し、何を減らしたのかを紹介します。
この記事で分かること
- センサー確認表と体位交換表を、既存の排泄・食事表へ統合した方法
- 書類をなくす前に確認したい「記録・知らせる・行動を促す」の3つの役割
- 自施設のチェック表を見直すときに使える、書類見直しシートと記入例
結論:確認を減らすのではなく、確認する場所を一つにする
今回の改善で大切にしたのは、センサーや体位交換の確認をなくすことではありません。
同じ職員が、同じ時間帯に確認する内容を、複数の用紙へ分けて書く必要があるのかを見直しました。
変更前は、排泄・食事表とは別に、センサーや体位交換のチェック表がありました。
変更後は、必要な確認欄を排泄・食事表へ加え、一枚を見れば、その時間帯に必要な確認をまとめて把握できるようにしました。
| 変更前 | 変更後 |
|---|---|
| 確認項目ごとに別の用紙がある | 普段使う表に必要な項目を集約 |
| 複数の用紙を開いて記入する | 一枚を見ながら記入できる |
| 書いた用紙と書いていない用紙が生じる | 確認する場所が分かりやすい |
| 記入回数が多い | 必要な記録だけを残す |


つまり、行ったのは「チェックの廃止」ではなく、記録と確認の動線を一本にすることでした。
なぜ、使いにくいチェック表が残り続けるのか
当時の職員は、別紙のチェック表を書くことに大きな疑問を持っていませんでした。
「以前からあるから」
「必要だと言われたから」
という理由で、日々の業務の一部になっていたからです。
介護現場では、事故やヒヤリハットが起きたあと、再発防止のために確認項目が追加されることがあります。
その対応自体は必要ですが、新しい用紙を追加したあとに、
- 既存の書類と重複していないか
- いつまで続けるのか
- 誰が何のために確認するのか
- より簡単な方法へ置き換えられないか
まで見直されないと、書類だけが残っていきます。
一回の記入は数秒でも、利用者さんや職員が増えれば、施設全体では小さくない負担です。
確認場所が分散すると、「どの用紙まで書いたか」が分かりにくくなり、かえって記入漏れにもつながりますよね。
実際に見直した2つのチェック表
今回見直したのは、次のようなフロア内の確認用紙でした。
センサーの電源確認表
離床などを把握するセンサーについて、電源が入っているかを確認するための表です。
センサーの確認は安全に関わる大切な業務です。
一方、職員は排泄介助や巡視の際にほかの状態とあわせて確認していたため、結果だけを別紙へ書くことが二度手間になっていました。
体位交換のチェック表
体位交換を行ったか確認するための表も、別に用意されていました。
体位交換の必要性や方法は利用者さんごとに異なりますが、実施する時間帯は排泄介助などと重なります。
そこで、実施記録を普段から確認する排泄・食事表へまとめました。
ただし、体位交換のチェック表には、実施記録とは別の役割もありました。
普段そのフロアで働いていないヘルプの職員が見たときに、「どの利用者さんに体位交換が必要なのか」を把握する目印にもなっていたのです。
そこで、実施記録は普段使う表へまとめつつ、体位交換が必要な利用者さんだと分かる目印は別に作り、職員から見える場所へ残しました。
書類を減らす前に、3つの役割へ分けて考える
書類を減らすときに注意したいのは、用紙が重複しているからといって、すぐに廃止しないことです。
最初に、その書類が現場でどんな役割を担っているかを確認します。
僕は今回の経験から、チェック表の役割を次の3つに分けて考えると整理しやすいと感じました。
| 書類が担う役割 | 内容 | 今回の例 |
|---|---|---|
| 記録する | 実施した事実や確認結果を残す | センサーの電源確認、体位交換の実施記録 |
| 知らせる | 誰にどのケアが必要か共有する | ヘルプ職員へ体位交換の対象者を伝える |
| 行動を促す | 確認やケアを忘れないようにする | 普段見る表や目印で職員の気づきを促す |


「記録する役割」は既存の表へ移せても、「知らせる役割」まで一緒になくしてよいとは限りません。
今回も、実施記録は排泄・食事表へ統合できましたが、体位交換が必要な利用者さんを知らせる目印は別に残しました。
用紙そのものを残すか廃止するかではなく、その用紙が担っている役割を、どこへ移すかと考えることが大切です。
さらに、安全面や記録上の問題がないか、次の点も確認します。
| 確認すること | 主な内容 |
|---|---|
| 何のための記録か | 安全確認、ケアの実施確認、情報共有など |
| 誰が見るか | 介護職、看護職、管理者、他職種など |
| いつ見るか | 介助中、申し送り、会議、事故検証など |
| ほかに同じ情報がないか | 介護記録、一覧表、チェック欄など |
| 正式な記録か | 法令、法人規程、ケアプランなどで必要か |
特に、法令や法人の規程で保存が必要な記録、ケアプランに基づく記録、多職種が確認する記録などは、フロアだけの判断でなくせるものではありません。
今回のような見直しでも、「用紙が面倒だから減らす」のではなく、必要な情報がどこに残り、誰が確認できるのかを先に考える必要があります。
僕が行った書類統合の進め方


1.重複している内容を確認する
最初に、別紙へ記入している内容と、普段使っている排泄・食事表を見比べました。
完全に同じ内容でなくても、同じ職員が同じタイミングで確認するものであれば、一緒に記録できる可能性があります。
今回の場合は、センサーと体位交換の確認を、日常的に使う表の中へまとめられると考えました。
2.必要な項目だけを残す
統合するときに、元のチェック表をそのまま小さくして入れるのでは、表が見づらくなります。
「念のため」と項目を残し続けると、今度は一枚の表が複雑になってしまいます。
そのため、確認に必要な項目を選び、普段使う表の中で無理なく記入できる形にしました。
3.元の書類が担っていた役割を別の方法で補う
書類には記入欄だけでなく、対象者を知らせる役割が含まれることがあります。記載項目だけでなく、現場でどう見られ、どんな判断に使われているかまで確認します。
4.実際に使う職員と話し合う
書類を使うのは、作成した本人だけではありません。
僕は主任として案を考えましたが、別紙をなくすと困ることはないか、既存表へまとめても確認できるかをフロア職員と話し合ってから実施しました。反対がないことだけで決めず、抜ける情報がないかを具体的に確認することが大切です。
5.変更後の記入状況を見る
変更後は、漏れや使いにくさがないかを確認します。今回のケースでは記入回数が減り、一枚を見れば必要な確認が分かるようになったことで、現場で確認した範囲では記入漏れも減りました。
書類を統合しやすいケース・分けた方がよいケース
すべてのチェック表を一枚にまとめればよいわけではありません。
統合するか迷ったときは、次のように考えると整理しやすくなります。
| 統合を検討しやすいケース | 別に残すことを検討するケース |
|---|---|
| 同じ職員が記入する | 確認する職種や部署が異なる |
| 同じ時間帯に確認する | 確認する時期や目的が異なる |
| 既存の表に無理なく追加できる | 統合すると表が複雑になりすぎる |
| 情報が重複している | 法令・規程上、独立した記録が必要 |
| 一枚で見た方が行動しやすい | 事故検証などで独立した履歴が必要 |
| 元の用紙の役割を別の方法で補える | 用紙自体が対象者を知らせる目印になっている |
大切なのは、書類の枚数だけを目標にしないことです。
一枚にまとめたことで見づらくなったり、必要な情報を探しにくくなったりすれば、別の負担が増えてしまいます。
ICTを導入する前に、今ある情報を整理する
介護現場の生産性向上では、介護ソフトや見守り機器などが注目されます。しかし、重複した確認を整理しないままデジタル化すると、同じ無駄が画面上に残ることがあります。
書類だけでなく、介護現場の業務全体を見直す考え方については、介護現場の業務改善は「足し算」より「引き算」からで詳しく紹介しています。


厚生労働省の「介護分野における生産性向上」の考え方でも、テクノロジーの導入だけでなく、業務の明確化と役割分担、記録・報告様式、情報共有などの見直しが取組として示されています。
新しいツールを探す前に、
- なぜこの記録が必要なのか
- 同じ情報を別の場所にも書いていないか
- 誰が、いつ、何のために見るのか
- 今ある表へまとめられないか
を確認するだけでも、改善できることがあります。
そのまま使える「チェック表・書類見直しシート」
施設内に「なぜ書いているのか分からない用紙」がある場合は、次の項目を一つずつ埋めてみてください。
最初から何枚も見直すのではなく、まずは一枚だけ選ぶ方が、職員とも話し合いやすくなります。
| 確認項目 | 書き込む内容 |
|---|---|
| 書類名 | 何という書類か |
| 作られた目的 | 事故防止、実施確認、情報共有など |
| 記入する人 | 誰が、いつ記入しているか |
| 確認する人 | 誰が、どんな場面で見ているか |
| 重複する記録 | 同じ内容をほかにも書いていないか |
| 正式な記録か | 法令、法人規程、ケアプラン上必要か |
| 隠れた役割 | 目印、注意喚起、申し送りにも使われていないか |
| 統合できる場所 | 普段使うどの記録へ移せそうか |
| 別に残すもの | 廃止後も必要な役割をどう補うか |
| 試した結果 | 漏れ、見やすさ、記入回数がどう変わったか |
今回の事例を、このシートに当てはめると次のようになります。
| 書類 | 記録する役割 | 隠れていた役割 | 見直した結果 |
|---|---|---|---|
| センサー電源確認表 | 電源確認を残す | 特になし | 確認欄を排泄・食事表へ統合 |
| 体位交換チェック表 | 実施記録を残す | ヘルプ職員へ対象者を知らせる | 記録は統合し、対象者の目印は見える場所に残す |
理由が分からないからといって、すぐに不要と決めることはできません。
一方で、「昔からある」という理由だけで残し続ける必要もありません。
必要な確認を残しながら、記録する場所や知らせる方法を変えられないか考えることが、小さな業務改善の始まりになります。
無料Excelテンプレートをダウンロード
今回紹介した考え方を、自施設の書類見直しにそのまま使えるExcelテンプレートにまとめました。どなたでも無料でダウンロードできます。
- 気になる書類を1枚ずつ詳しく確認
- 複数の書類を一覧で整理
- 入力内容から次の進め方を自動表示
- センサー電源確認表・体位交換チェック表の記入例つき
まずは「なぜ残っているのか分からない書類」を一枚選び、黄色のセルを埋めながら確認してみてください。
※利用者名や職員名などの個人情報を入力した状態で、外部へ共有しないでください。
よくある疑問
- チェック表はフロアの判断だけで廃止してもよいですか?
-
法令や法人規程、ケアプランなどに関係する記録は、フロアだけでは判断できません。書類の目的と保存の必要性を確認し、管理者や関係職種へ相談したうえで見直します。
今回の事例でも、主任の僕だけで決めるのではなく、実際に使うフロア職員と話し合ってから変更しました。
- 一枚にまとめると、かえって見づらくなりませんか?
-
項目を詰め込みすぎれば、見づらくなる可能性があります。元の表をそのまま縮小して入れるのではなく、必要な項目だけを追加し、実際に使いながら配置や記入欄を調整することが必要です。
- ICT化と書類の整理は、どちらを先にすべきですか?
-
まずは、記録の目的や重複、情報の流れを整理するのがおすすめです。重複した業務をそのままデジタル化すると、紙で行っていた二重記録が画面上へ移るだけになることがあります。
何を残し、何をまとめるかを決めたあとにICTを使う方が、必要な機能も選びやすくなります。
まとめ
僕が以前働いていた施設では、センサーの電源確認表や体位交換チェック表が、普段使う排泄・食事表とは別に作られていました。
そこで、必要な項目を排泄・食事表へまとめ、フロア職員と確認したうえで別紙を減らしました。
ただし、体位交換が必要な利用者さんをヘルプの職員にも伝えられるよう、対象者を示す目印は見える場所に残しました。
その結果、記入回数だけでなく、記入漏れも減りました。
この経験から感じたのは、業務改善は新しい仕組みを足すことだけではないということです。
必要な確認は残しながら、重複した書類や分かりにくい動線を整理する。
小さな見直しですが、こうした積み重ねが、職員が迷いにくく、必要なケアに時間を使いやすい現場につながるのだと思います。
今回紹介した「チェック表・書類見直しシート」は、すべての書類を一度に減らすためのものではありません。
まずは、記入が重複していると感じる一枚を選び、その書類が担う役割から確認してみてください。
介護施設の書類・Excelでお困りの方へ
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- 同じ内容を何度も記入している
- 今ある書類を一枚にまとめられるか知りたい
- Excelを使いやすくしたいが、どこから直せばよいか分からない
といった初回のご相談は無料で受け付けています。
お問い合わせの際は、利用者さんや職員の氏名などの個人情報を記載せず、次の3点を分かる範囲でお知らせください。
- どのような書類やExcelを使っているか
- 現在、何に困っているか
- どのような状態にしたいか
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施設内の詳しい状況を含むご相談は、公開されるコメント欄ではなく、お問い合わせフォームからお願いいたします。
参考資料
- 厚生労働省|介護分野における生産性向上とは
- 厚生労働省|介護サービスにおける生産性向上のための7つの取組
- 厚生労働省|記録・報告様式の工夫
- 厚生労働省|介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン
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