介護現場のヒヤリハット報告とケアテック|Excelテンプレートと無料AIテンプレート活用

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こんにちは!
元ITエンジニアで現役介護福祉士のやなぎです。

介護の現場で働いていると、「ヒヤッ」「ハッ」とする出来事は、どうしてもゼロにはできませんよね。

  • 転倒しそうになった。
  • 誤薬になりかけた。
  • 声かけや確認のタイミングが少しズレた。

そのたびにヒヤリハット報告書を書いて、振り返って、対策を考える。
「大事なことだ」と頭では分かっているのに、気持ちが重くなってしまう瞬間も多いと思います。

この記事では、

  • そもそもヒヤリハットはどれくらい起きているのか(数字で見る全体像)
  • なぜ、報告や振り返りがこんなにしんどく感じるのか(現場の本音)
  • そこにケアテック(ICT・AI)がどう関われるのか(軽くできる部分・できない部分)
  • 特養の現場で、Excelフォームを工夫して報告件数が増えた実体験
  • その中の小さな解決策のひとつとして、無料AIテンプレの活かし方

をヒヤリハットを「誰かを責める道具」ではなく、「チームで共有できる学びのタネ」に変えていきたい方に、少しでも参考になる内容になるようお話ししていきます。

目次

1.ヒヤリハットはどれくらい起きているのか|数字で見る「量」と「重さ」

まずは、「ヒヤリハットって、どれくらいの量があるのか」という全体像から少し眺めてみます。

安全管理の世界ではよく「ハインリッヒの法則」という考え方が紹介されます。

重大な事故の背景には、その手前に

・軽微な事故が約29件
・ヒヤリハットが約300件

眠っていると言われるイメージです。

実際に、医療全体のデータを見てみると、事故とヒヤリハットの「量の差」がよく分かります。
日本医療機能評価機構が公表している「医療事故情報収集等事業 第54回報告書(2023年4~6月分)」の数字を、イメージしやすいように表にするとこんな感じです。

区分報告件数(3か月間)件数のイメージ備考
医療事故1,101件約1件患者さんに実際の被害が生じた事例
ヒヤリ・ハット238,134件約216件結果として大事には至らなかったが、ヒヤリとした事例
出典:公益財団法人 日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業 第54回報告書(2023年4~6月分)」より作成。報告書概要(京都府保険医協会)報告書PDF

たった三か月間で、ヒヤリハットは23万件以上。
重大な事故の200倍以上の「ヒヤリ」が、その裏側に眠っていることがわかります。

介護に特化した全国統計はまだ十分とは言えませんが、
「ヒヤリハットが山ほどあるのは、うちの施設だけではない」ということは、ここからも感じていただけると思います。

2.福祉用具まわりで見えてきた「ヒヤリハット」の現実

介護の現場により近いところでは、「福祉用具」に関する事故・ヒヤリハット情報の整備が進んできています。

厚生労働省の委託調査では、福祉用具の使用中に起きた事故が、3年半で446件報告されています。
内訳をざっくりと整理すると、次のようなイメージです。

区分件数割合の目安代表的な例
死亡事故31件約7%電動車いすやシニアカーの転落・衝突、介護ベッド用手すりへの挟み込みなど
重症(骨折・長期入院など)80件約18%転倒による骨折、車いすからの転落など
軽症167件約37%打撲や擦り傷など
その他・不明168件約38%詳細不明だが事故として報告された事例
合計446件100%調査期間:2021年2月〜2024年9月
出典:老施協デジタル「福祉用具による事故、3年半で446件」(2025年2月28日公開)に示された厚生労働省委託調査結果より作成。

数字だけを見ると「446件」ですが、その背景には31件の死亡事故があります。

福祉用具は、介護の負担を減らしてくれる頼もしい味方である一方で、
使い方や環境、体調の変化によっては、ヒヤリハットや事故のリスクも抱えています。

「福祉用具を入れたから安心」ではなく、
福祉用具と一緒に、ヒヤリハットをきちんと拾い続けることが、安心につながる」と考える必要があるのだと思います。

3.国や他分野では、ヒヤリハットをどう扱っているのか

少し視野を広げると、「ヒヤリハットを集めて、分析して、改善に活かす仕組み」は、医療や福祉の世界全体で整ってきています。
代表的な取り組みを二つだけ挙げると、こんなイメージです。

取り組み運営主体内容事例数・状況
医療事故情報収集等事業日本医療機能評価機構全国の医療機関から事故・ヒヤリハット事例を収集し、四半期ごとの報告書や年報として分析結果を公表する仕組み。医療事故とヒヤリハットを分けて集計し、原因分析や再発防止のポイントを共有。年報では年間四千〜五千件規模の医療事故と多数のヒヤリハットを分析。
福祉用具「事故・ヒヤリハット」情報テクノエイド協会など(厚労省・消費者庁と連携)福祉用具や介護テクノロジーに関する事故・ヒヤリハット事例を収集・一元管理し、用具別の注意点や最新事故情報を共有する取り組み。消費生活用製品の重大製品事故のうち、福祉用具に係る事故情報が随時提供されており、自治体や事業者向けに「重大製品事故」情報が継続的に発信されている。
出典:日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業 年報」および医療事故情報収集等事業 第65回報告書紹介ページ(京都府保険医協会)。福祉用具関連は、大阪府「福祉用具の重大製品事故報告に係る情報提供」および公益財団法人テクノエイド協会の事故情報をもとに作成。

医療や福祉の世界では今、

ヒヤリハットは、現場の失敗ではなく大事な学びの材料
一つの施設の中だけに閉じ込めず、全国レベルで見える化していく

という流れが、少しずつ広がってきています。

介護施設一つ一つのヒヤリハットも、本当はその大きな流れの一部。
だからこそ、紙の中だけに眠らせず、「チームで共有して、次につなげる」ための仕組みづくりが大切になってきているのだと思います。

4.介護のヒヤリハットがしんどく感じる理由

数字や国の取り組みだけを見ると、「ヒヤリハットってやっぱり大事なんだな」と頭では分かります。
それでも現場では、

  • 「分かっているけど、書くのがつらいんだよね」
  • 「事故が起きたわけじゃないから…あとで書けばいいかな」

という気持ちが生まれてしまいます。
そこには、いくつかの理由が重なっています。

4-1.感情がざわついているタイミングで書かないといけない

ヒヤッとした直後は、職員側も落ち着いていません。

利用者さんに申し訳ない。
自分の判断が甘かったのではないか。
他の職員はどう見るだろう。

そんな思いが胸の中でぐるぐるしている中で、

「冷静に」「客観的に」「分かりやすく」書くことが求められます。

頭では分かっていても、心のエネルギーが追いつかない。
そのギャップが、しんどさにつながっていきます。

4-2.「再発防止策」が一番苦しい

多くの方が手を止めてしまうのが、「再発防止策」の欄ではないでしょうか。

  • 本当に防止につながる案が書けているのか。
  • 他の人から「浅い」と思われないか。
  • 人を責めるような書き方になっていないか。

書きながら、自分自身をジャッジしてしまうような感覚になりやすい部分です。

4-3.「書いて終わり」になってしまう虚しさ

せっかく時間をかけて書いた報告書が、

提出して終わり。
会議でさらっと触れて終わり。

になってしまうと、「また同じことを繰り返しているだけ」という思いにもつながります。

本当は、一つひとつのヒヤリに「学びのタネ」が眠っているのに、
忙しさの中で十分に活かしきれない。

そうした虚しさも、ヒヤリハットへの苦手意識を生みやすいところだと感じています。

5.ケアテックで変えられることと、変えられないこと

ここ数年、介護現場にもケアテックやAIのツールが増えてきました。
ヒヤリハットやインシデントの分野でも、

  • ケアテックの力で軽くできる部分
  • どうしても人にしかできない部分

が見えてきています。

5-1.ケアテックで軽くできるところ

たとえば、次のような部分は、ICTやAIの得意分野です。

  • 紙ではなく、フォーム入力で「漏れ」を減らす
  • 音声入力で、その場のメモを残しやすくする
  • テンプレートで、書く順番や視点をそろえる
  • AIに「文章の骨組みづくり」を手伝ってもらう

これらは、

「何から書きはじめればいいか分からない」
「ゼロから文章をひねり出すのがつらい」

といった負担を、かなり軽くしてくれます。

5-2.ケアテックでは代わりにできないところ

一方で、どれだけツールが増えても、

  • 事実を丁寧に振り返ること
  • その背景にある要因を一緒に考えること
  • 自分たちの現場に合った対策を話し合うこと

は、やはり人にしかできません。

AIは「それらしい文章」を作るのは得意ですが、

  • その施設の文化
  • 利用者さん一人ひとりの背景
  • スタッフ同士の関係性

までは、本当の意味では知りません。

だからこそ、

ケアテックは「考えること自体を手放すための道具」ではなく、
「考えるための余裕をつくる道具」として使うことが大切だと思っています。

6.ヒヤリハットを「学び」に変えるケアテック活用の具体例

ここからは、日々のヒヤリハットを「学び」に変えていくために、ケアテックをどう組み合わせていくか、具体的なイメージをいくつか紹介します。

6-1.音声入力で「とりあえず残す」のハードルを下げる

ヒヤッとした直後に、いきなり文章にまとめるのは大変です。

そこで、

  • スマホやタブレットの音声入力機能
  • ICレコーダーと文字起こしツール

などを使って、「まずは話し言葉で状況を残す」というステップを挟むと、かなり楽になります。

あとから、落ち着いた時間に

  • 誤変換を直す
  • 順番を整理する

という二段階に分けるだけで、心の負担も分散されます。

6-2.フォームやテンプレートで「抜け」を防ぐ

Googleフォームや介護ソフトのインシデント入力画面を使うと、

  • 日時
  • 場所
  • 利用者さんの状態
  • 職員の体制

など、必要な項目をあらかじめ並べておくことができます。

「何を書けばいいか」を考える前に、「聞かれていることに答えていく」だけで、
一定レベルの情報がそろうのは、フォーム形式ならではの強みです。

6-3.AIに「文章の骨組みづくり」を任せる

音声やフォームで集めた情報をもとに、

  • 5W1Hに沿った文章に整える
  • 出来事の流れを分かりやすく並べ直す
  • 「考えられる要因」をいくつかの視点で整理してもらう

といった部分は、AIの得意領域です。

出てきた文章をそのまま使うのではなく、

  • たたき台として参考にする
  • 自分たちの視点や、現場に合う表現へと調整する

という前提で使うと、ちょうど良い距離感になります。

6-4.Excelフォームを工夫して、報告件数が増えた実体験

ここで、僕自身が主任として働いていたときの、ヒヤリハットフォームづくりの話を少しだけさせてください。

当時の現場では、そもそもヒヤリハットの報告自体がとても少ない、という悩みがありました。

職員のみんなに聞いてみると、理由はだいたい同じです。

  • 忙しくて書く時間がない
  • 正直、めんどくさい
  • どう書いたらいいか分からない

頭では「大事なのは分かっている」けれど、現場の感覚としてはどうしても後回しになってしまう。
そんな空気が、フロアのどこかにいつも漂っていました。

そこでまず、元ITエンジニアの習性もあって、Excelでヒヤリハットの入力フォームを作ってみました。
日時や場所、利用者さんの状態などの項目を並べて、横には「記入例」もつけて、「ここに沿って書けば大丈夫ですよ」と伝えました。

ただ、正直にいうと、この段階ではあまり大きな変化はありませんでした。
理由はシンプルで、「自分で考えて文章を書く負担」が、まだほとんど軽くなっていなかったからだと思います。

そこで発想を少し変えました。

一度、これまでに出ていたヒヤリハットを全部集めて、Excelでざっくりと集計してみたんです。
「どんな場面で」「どんな種類のヒヤリが」起きているのかを眺めていくと、二回以上出ているパターンがいくつも見えてきました。

例えば、

  • 移乗のときのバランス崩れ
  • 見守り中の転倒しかけ
  • 飲み込みが不安定な方の食事場面

など、何度も顔を出してくる「おなじみのヒヤリ」たちです。

そこで、その「二回以上あった事例」を、すべてチェックボックスの項目に落とし込み、

  • ヒヤリの種類はチェック形式で選ぶだけ
  • 自由に書くのは「現場の様子」「とった対応」「そのとき感じたこと」だけ

という形にフォームを作り変えました。

つまり、

「ゼロから全部文章で書く」から、
「選ぶところは選ぶ。考えて書くのは、本当にその人にしか書けない部分だけ」

というスタイルにしたイメージです。

すると、少しずつですが、ヒヤリハットの報告件数が増えていきました。

職員からも、

  • チェックで選べるところが多いから、書き始めるまでのハードルが下がった
  • 自分の気持ちや、その場の様子だけを書けばいいと思えるようになって、前より気が楽になった

という声が聞かれるようになりました。

この経験から、僕はあらためて、

「ヒヤリハットをちゃんと書いてもらう」ためには、
書く人の負担を減らす「設計」そのものが、とても大事になる。

と感じました。

そして今、AIを使ったヒヤリハット支援ツールを考えるときにも、
あのときの「チェックを増やして、考えるところを絞る」という発想が、土台として生きています。

7.無料AIテンプレートは「現場を支える選択肢」のひとつ

ここまで、

ヒヤリハットの「量」と「重さ」
国や他分野の取り組み
介護の現場で感じるしんどさ
ケアテックで軽くできる部分
Excelフォームを工夫して報告が増えた実体験

を、一度ぐるりと見てきました。

そのうえで、僕自身も「現場のしんどさを少しでも軽くしたい」という思いから、
ヒヤリハット報告をサポートする、無料のAIテンプレをひとつ用意しています。

「具体的な画面や入力イメージは、ページ下部の開閉ボックスにまとめていますが、今すぐ試してみたい方は、こちらからAIテンプレを開いていただけます。」

位置づけとしては、

たくさんあるケアテックの中の、現場で使える選択肢のひとつ。

というイメージです。

このテンプレでは、

  • 簡単なメモを入れると、5W1Hに沿った報告文のたたき台を提案してくれる
  • 出来事の流れを整理し、「いつ・どこで・誰に・何が・どうなったか」を文章の形に整える
  • 考えられる要因や、次に気をつけたいポイントを、いくつかの視点で候補として提示してくれる

といったかたちで、「考える入口づくり」を手伝ってくれます。

ただし、大事なのはここからです。

  • 事実関係にズレがないか
  • 表現がきつくなっていないか
  • 施設の方針や文化に合っているか

を、人の目でしっかり確認しながら、必要に応じて書き換えて使うことが前提です。

「AIに全部任せてしまうためのツール」ではなく、
「ヒヤリハットを書きやすくして、振り返りに回せる時間や気持ちの余裕をつくるためのツール」

として、静かに支えてくれる存在だと考えています。

具体的な機能や使い方は、この記事の最後に置いている「開閉ボックス」にまとめました。
気になる方は、必要なときにそっと覗いてみてください。

ヒヤリハット報告をやさしく支える無料AIテンプレートの詳しい使い方(クリックで開く)

ヒヤリハット報告をやさしく支える無料AIテンプレート
(簡単なメモから、5W1Hに沿った報告文のたたき台を作るAIサポートツール)

このツールは、「ヒヤリハットをAIに任せるため」のものではありません。
忙しい現場の中で、

・書き始めのハードルを下げること
・情報の抜け漏れを減らすこと
・振り返りに使える時間と心の余裕をつくること

を目的にした、小さな手助けアイテムです。

■ こんな現場・こんな人に向いています

・ヒヤリハット報告の重要性は分かっているけれど、書くとなると手が止まってしまう
・若手や中途職員に「書き方を教える」のが負担になっている
・忙しさの中で、どうしても「書かないまま流れてしまうヒヤリ」が多い
・まずは無料の範囲で、現場に合うかどうか試してみたい

■ このAIテンプレでできること

・現場で残した「簡単なメモ」や「箇条書き」から、5W1Hに沿った報告文のたたき台を作成
・出来事の流れを整理し、「いつ・どこで・誰に・何が・どうなったか」を分かりやすく文章化
・考えられる要因や、次に気をつけたいポイントを、いくつかの視点から候補として提示
・ヒヤリハットだけでなく、インシデントや事故報告の下書きにも応用可能

▼専門知識は不要!たった3ステップの簡単な使い方

使い方はとてもシンプルです。パソコンが苦手な方でも全く問題ありません。

ステップ1:入力用テンプレートにメモを書く

まず、報告したい内容を専用のテンプレートに書き出します。
テンプレートに沿って、見たまま入力するだけなので簡単です。
この一手間が、AIに正確な情報を伝え、個人情報を守るために非常に重要です。

▼入力用テンプレート

ヒヤリハット報告書アプリ 入力用テンプレート
============================================================

【使い方】
1. 以下の「--- (ここからコピー) ---」から「--- (ここまでコピー) ---」までをコピーします。
2. メモ帳などに貼り付け、各項目を埋めます。
3. 埋め終わったら、その全文をコピーしてOpalアプリの入力欄に貼り付けてください。

【最重要】個人情報保護のため、氏名などの個人が特定できる情報は絶対に入力しないでください。

--- (ここからコピー) ---

* 発生日時:
* 発生場所:
* 関係者:
* どのような状況で:
* 何が起こったか(ヒヤリとしたこと):

--- (ここまでコピー) ---

【ポイント】
「関係者」の欄には、「田中太郎様」のように個人名を書くのではなく、「80代男性、車椅子使用」のように、個人が特定できない形記入してください。

ステップ2:アプリにアクセスして、メモを貼り付ける

次に、以下のリンクからアプリにアクセスします。リンクをクリックして、コピーしたメモを貼り付けるだけ。
面倒な会員登録や、難しい設定は一切ありません。

⇩ヒヤリハット報告書+学びと改善ツールはこちらのボタンから⇩

※このアプリはGoogle Opalで作成されているため、利用にはGoogleアカウントでのログインが必要です。

アプリが開いたら、入力欄に、ステップ1で作成したメモをそのまま貼り付けて実行してください。

ステップ3:AIが生成したレポートを確認・活用する

実行すると、AIが数秒でレポート全体を生成してくれます。

【入力例】

* 発生日時: 2025年10月15日 10:30頃
* 発生場所: デイルーム
* 関係者: 利用者様C氏(80代男性、片麻痺あり)
* どのような状況で: 車椅子からソファへ移乗しようとしていた。
* 何が起こったか(ヒヤリとしたこと): 車椅子のブレーキがかかっていなかったため、移乗中に車椅子が後ろに動き、C氏がバランスを崩した。職員がすぐに支えたため、転倒には至らなかった。

【AIによる出力結果の全体像】

【ヒヤリハット報告書(下書き)】

  1. 発生日時: 2025年10月15日 10:30頃
  2. 発生場所: デイルーム
  3. 関係者: 利用者様C氏(80代男性、片麻痺あり)
  4. 状況の概要(客観的事実): 利用者様C氏が車椅子からソファへ移乗しようとした際、車椅子のブレーキが未施錠だったため車体が後退し、バランスを崩す事態となった。介助職員が即座に支持し、転倒には至らなかった。
  5. ヒヤリとした内容: 移乗介助の基本であるブレーキ確認が徹底されておらず、重大な転倒事故に繋がる可能性があった。
  6. 考えられる直接的な原因: 介助職員による、移乗前の車椅子ブレーキの確認不足。
  7. 再発防止策(提案): 移乗介助時は、必ずブレーキ施錠を指差し・声出し確認する手順をチーム全体で徹底する。

【💡この事例からの学びと振り返り】

  • ワンポイント知識: 移乗介助の基本は、まず環境を整えることです。車椅子のブレーキ確認は、利用者様の安全を守るための生命線と言えます。どんなに慣れた作業でも、一つ一つの手順を省略しないことが重要です。
  • 振り返りの質問:
    1. なぜブレーキの確認を忘れてしまったのか、その時の状況(急いでいた、他のことに気を取られていたなど)を具体的に振り返ってみましょう。
    2. 今後、確認を「無意識の習慣」にするために、個人として・チームとしてできる工夫はありますか?

【▶️次のアクション提案】

  • 確認チェックリスト案: 移乗介助を行う前に、以下の項目を必ずチェックする習慣をつけましょう。 □ 車椅子のブレーキは、両輪とも確実にかかっているか?(指差し・声出し確認) □ 利用者様ご本人に、これから移乗することを伝えたか? □ 車椅子と移乗先の間に、隙間や段差はないか? □ 床に滑りやすいものはないか?

【チームで考えよう:ミニケース会議のアジェンダ案】

  1. 開会・目的の共有(5分)
    • 今回の移乗ヒヤリハット事例を振り返り、チーム全体の安全意識を高める。
  2. 事例の共有と事実確認(10分)
    • C様の移乗時に発生したヒヤリハットについて、事実関係に相違がないか確認しましょう。
  3. 根本原因のブレインストーミング(15分)
    • なぜ車椅子のブレーキが未確認だったのか?その背景にあるチームの習慣や環境(忙しさ、声かけ不足、慣れによる油断など)について話し合いましょう。
  4. チームとしての再発防止策の決定(15分)
    • 「声出し・指差し確認の徹底」を、いつから、どのようにチーム全体で実施するか具体的なアクションプランを決定しましょう。
  5. まとめと共有(5分)
    • 決定事項を再確認し、各自の役割を明確にします。

あとは、この内容を元に必要な箇所を修正・追記すれば、報告書の完成です。

【最重要】ご利用にあたってのお願い

このアプリは非常に便利ですが、安全に使うために、以下の点だけは必ずお守りください。

  • 個人情報は絶対に入力しない
    AIはインターネット上のサーバーで動いています。
    利用者様や職員の氏名など、個人が特定できる情報は絶対に入力しないでください。
  • AIの生成内容は必ず自分で確認する
    AIが生成するのは、あくまで「下書き」と「提案」です。
    必ずご自身の目で事実確認と修正を行い、最終的な責任を持ってご活用ください。

よくある質問(FAQ)

なぜGoogleアカウントが必要なのですか?

このアプリはGoogleの「Opal」という実験的なサービス上で動いています。Opalを利用してアプリを作成したり、共有されたアプリを使ったりするには、Googleアカウントでのログインが必須となっています。ご自身のGoogleアカウントに紐づけて、安全にサービスを利用するための仕組みとお考えください。

入力した内容を、アプリ作成者や第三者に見られてしまうことはありませんか?

ご安心ください。あなたがこのアプリに入力した内容や、AIが出力した結果を、作成者である私が閲覧することは一切できません。 アプリの共有は、いわば「計算機」を貸し出すようなもので、誰がどんな計算をしたかは持ち主には分からないのと同じです。 ただし、AIによる処理はGoogleのサーバー上で行われます。そのため、「ご利用にあたってのお願い」でも記載の通り、万が一にも漏洩してはいけない個人情報は絶対に入力しないよう、固くお願いいたします。

スマートフォンでも問題なく使えますか?

はい、問題ありません。お使いのスマートフォンのブラウザ(iPhoneならSafari、AndroidならChromeなど)から、パソコンと同じようにご利用いただけます。いつでもどこでも、気になった時にすぐ使えるのがメリットです。

利用にお金はかかりますか?

いいえ、一切かかりません。このアプリも、基盤となっているGoogle Opalも、現在すべて無料で利用できますので、安心して何度でもご活用ください。

利用時の注意点

・個人情報や施設名は、そのまま入力しないでください。
 氏名をイニシャルにする、地名をぼかすなど、匿名化した情報に変換してから使うようにしてください。

・AIが出した文章を「そのまま使う」のではなく、必ず人の目で確認してください。
 最終的に内容の責任を持つのは、現場の職員です。
 事実の確認や表現の調整は、あなたの専門性と感覚でしっかりと行ってください。

・施設ごとのルールや方針に沿って活用してください。
 外部サービスの利用ルールや情報の取り扱いについて、必要に応じて上長や委員会と相談しながら導入してください。

■ ツールへのアクセスと今後のアップデート

このAIテンプレへのアクセスは、下のリンクから行えます。
普段お使いのブラウザでそのまま開き、説明に沿ってお試しください。

今後も、現場からいただいた声をもとに、

  • 入力例のパターン追加
  • ・よくある場面に合わせたテンプレートの微調整
  • ・説明テキストの改善

など、少しずつアップデートしていく予定です。

「こういう場面で使えたら便利そう」
「ここが分かりづらかった」

といった感想やアイデアがあれば、ぜひ教えてください。
現場のみなさんと一緒に、より使いやすい形に育てていけたらうれしいです。

8.A4でそのまま使える「ヒヤリハット報告書Excelテンプレート」も用意しました

この記事では主に「考え方」と「AIテンプレ」のお話をしてきましたが、
もう一つ、小さなおまけとして「A4で印刷してそのまま使えるヒヤリハット報告書のExcelテンプレート」も用意しました。

現場でよく聞く声として、

  • 書きたい気持ちはあるけれど、フォーマットづくりまでは手が回らない
  • とりあえず紙で書きたいけれど、あとからExcelにもまとめたい

というものがあります。

そこで今回のテンプレートでは、次のような形にしています。

シート1「A4_印刷して使う用」

 A4縦で印刷すると、そのまま提出用の「ヒヤリハット・インシデント報告書」として使えるレイアウトです。
 発生日や発生場所、区分、ヒヤリの種類などはあらかじめ項目として並べてあり、
 「現場の様子」「とった対応」「考えられる要因」「再発防止策」など、
 書いてほしいポイントだけを大きめの枠で書けるようにしています。

シート2「A4_プルダウンで入力用」


 見た目はほぼ同じですが、こちらはExcel上での入力に向けたシートです。
 発生場所や職種、区分、ヒヤリの種類、発生場面などはプルダウンで選べるようにしてあり、
 手書きよりも「入力で残したい」という現場でも使いやすいようにしました。

どちらも、

  • できるだけチェックや選択式の項目を多くして
  • 「その場の状況」「感じたこと」など、自分の言葉で書いてほしい部分だけに集中できる

という考え方で作っています。

この記事の内容と同じく、

ヒヤリハットを「責めるための紙」にするのではなく、
みんなで共有して、次につなげるためのメモにしていく

その一歩を、少しだけ楽にするためのテンプレートです。

「うちの施設でも試してみたいな」と感じてくださった方は、
記事の下に置いてあるダウンロードリンクから、自由にコピーしてカスタマイズして使っていただければうれしいです。

9.まとめ|ヒヤリハットを「責める道具」から「学びのタネ」へ

最後に、この記事全体でお伝えしたかったことを、あらためて整理します。

  • ヒヤリハットは、全国レベルで見ても「事故の何百倍」という単位で起きている
  • 福祉用具まわりでは、死亡事故を含む事例が集約され、注意喚起と学びの材料になり始めている
  • 医療や福祉の世界全体で、「ヒヤリハットを全国で集めて分析する」流れが少しずつ広がっている
  • 一方で、介護の現場では、感情・時間・言葉の負担から、ヒヤリハットがしんどいものになりやすい
  • ケアテックやAIは、「書き出しのハードル」「整理の手間」を軽くする相棒になりうる
  • Excelフォームの工夫など、シンプルなIT活用だけでも、報告件数や空気感は変えられる
  • それでも、最終的に考え、選び、言葉を決めるのは人。AIやツールは、あくまで支えてくれる道具のひとつに過ぎない

ヒヤリとしたあとに訪れる、あの重たい時間を、
少しでも「次につながる時間」に変えていきたい。

そのために、

  • ヒヤリハットを、責めるためではなく学ぶために使うこと
  • 一人の反省で終わらせず、チームの知恵に変えていくこと
  • ケアテックの力も少し借りながら、「考えるための余裕」を取り戻していくこと

この三つを、大切にしていきたいなと感じています。

今回ご紹介したデータや表、そして無料のAIテンプレと実体験が、
あなたの現場での「気づき」と「ゆとりづくり」の、ほんの小さなきっかけになればうれしいです。

今日も、ヒヤリと向き合いながら、利用者さんの暮らしを支えているあなたへ。
どうか、あなた自身の心と体の安全も、同じくらい大切にできますように。

最後まで読んでいただきありがとうございました✨

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