介護現場の声かけ言い換えマニュアル100選|現場で使える例文とAIプロンプト【PDF付き】

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目次

1.はじめに:介護の声かけはなぜ重要なのか?

こんにちは!
元ITエンジニアで現役介護福祉士のやなぎです🌱


介護の現場で使う「声かけ」は、一般的にいわれているただの会話ではないんですよね。

それは、利用者さんの尊厳を守り、安心感と信頼関係を育て、ケアの質そのものを左右する専門技術なんです🌱

同じ内容を伝えているつもりでも、以下の二つが生み出す空気は、まったく違いますよね。

声かけの種類具体例
指示的「早くしてください」
受容的「お時間のある時で大丈夫ですよ」

適切な一言は、利用者さんの不安を和らげ、おだやかな表情を引き出します。

一方で、不適切な一言は、羞恥心や怒りを生み、介護拒否やBPSDにつながることすらあります。

この記事では、そんな「介護の声かけ」に特化して、場面別フレーズ100選と、言葉が出てこない時に助けてくれるAIツールの活用方法まで、余すことなく解説します。

時間がない方へ|先にPDF・ツールだけ見たい方はこちら

「まずは保存しておいて、あとでじっくり読みたい」という方は、上のリンクからPDFやツールを開いておいてください。この記事では、その使い方や言い換えの考え方を、順番にわかりやすく解説していきます。

1-1.介護の声かけが利用者の尊厳を守る理由

介護を受ける状況になっても、利用者さんは「一人の大人」です。

身体機能や認知機能の低下によって、自分でできることが減っていく中でも、「自分で決めたい」「大切に扱われたい」という気持ちは決してなくなりません。

しかし現場では、忙しさや慣れから、つい次のような声かけが出てしまいがちです。

  • 「はい、手を上げてください」
  • 「こっちに座ってください」
  • 「トイレ行きますよ」

これらは一見、丁寧な言葉遣いにも見えますが、内容としては指示・命令に近いものです。

何度も続くと、利用者さんは「自分で決める余地がない」「言われるままに動かされている」と感じ、自尊心がじわじわと傷ついていきます。

一方で、次のような声かけは「あなたを一人の大人として尊重しています」というメッセージになります。

  • 「お着替えのお手伝いをしてもよろしいですか?」
  • 「こちらのお席、座り心地が良いのですが、いかがでしょう?」

同じケアでも、「尊重されている」という感覚があるかどうかで、受け止め方は大きく変わります。

1-2.NG言葉が引き起こす3つの問題

  1. 利用者さんの不快感と精神的苦痛
    「早くして」「またですか?」といった言葉は、急がせるニュアンスや責めるような空気を含んでいます。言われた側は「迷惑をかけている」「邪魔な存在なのかな」と感じ、落ち込みや怒り、不安を抱えてしまいます。
  2. 信頼関係の崩れ
    一度「この人は怖い」「あまり話したくない」と思われてしまうと、その後のケア協力が得られにくくなります。声かけ一つで、「話してみたい人」にも「近づきたくない人」にもなってしまうのです。
  3. 心理的虐待と評価されるリスク
    威圧的な言葉や人格を否定するような言動は、「高齢者虐待防止法」における心理的虐待に当たる可能性があります。誰も「虐待したい」と思っていなくても、無意識の言葉が相手を深く傷つけてしまうことはある、という前提で、自分の口ぐせを見直すことが大切です。

1-3.声かけ言い換えの3つのメリット

  1. 利用者さんの満足度とQOLの向上
    安心できることば、尊重されていると感じられる声かけが積み重なると、日々の生活が穏やかになり、笑顔や会話が増えていきます。
  2. 介護士自身のストレス軽減
    不適切な声かけが減ると、介護拒否やトラブルも減り、「頑張っているのに毎回うまくいかない」というストレスから解放されやすくなります。
  3. チーム全体の雰囲気改善
    ポジティブな声かけが当たり前になる職場では、お互いのコミュニケーションも柔らかくなり、「利用者さんへの声かけ」と「スタッフ同士の声かけ」の両方が良い循環に入っていきます。

2.【解決策】AIで介護の声かけを自動変換する方法

  • 「良い声かけが大事なのは分かるけれど、とっさに出てこない」
  • 「忙しいと、つい強い言葉になってしまう」

そんな時は、自分の頭だけで悩まず、新しい味方「AI」に頼ってみましょう。

NG言葉をOK言葉に変換するのは、AIが最も得意とする分野の一つです。

2-1.AIで声かけを変換する3ステップ

  1. NG言葉をメモする
    日々のケアの中で、「つい言ってしまった言葉」「言ったあとに後悔した言葉」をそのままの形でメモしておきます。
  2. AIにプロンプト(指示文)を入力する
    後ほど紹介するテンプレートを使って、「この言葉を、利用者さんの尊厳を守る優しい表現に言い換えてください」とAIにお願いする文章を作ります。
  3. 生成された言い換えを確認・修正する
    AIが提案したフレーズを、そのまま鵜呑みにするのではなく、「自分の職場・自分のキャラクターに合うか」をチェックして、少しだけ自分の言葉に整えます。

2-2.コピペで使える!介護の声かけAIプロンプト5選

以下のプロンプトをコピーして、ChatGPTなどのAIツールに貼り付けて使ってください。

プロンプト例1:基本形(NG言葉を言い換え)

あなたは介護現場で働くプロの介護福祉士です。

以下のNG言葉を、利用者さんの尊厳を守る、丁寧で優しい声かけに言い換えてください。

言い換えの後に、「なぜその言い換えになるのか」というポイントも簡単に説明してください。

[NG言葉]

(ここに、言い換えたい言葉をそのまま書いてください)

プロンプト例2:場面を指定して言い換え

あなたは特別養護老人ホームで働く介護福祉士です。

「食事介助」の場面で使う声かけとしてふさわしい、丁寧で優しい表現に言い換えてください。

利用者さんの自尊心を傷つけず、安心して食事に向かえる言い方にしてください。

[NG言葉]

(ここに、言い換えたい言葉をそのまま書いてください)

プロンプト例3:認知症ケアに特化した言い換え

あなたは認知症ケアに詳しい介護福祉士です。

認知症の利用者さんに対して使う声かけとして、安心感と尊重が伝わる表現に言い換えてください。

否定や論破にならないように注意し、「今、その人が見ている世界」を尊重する言い方にしてください。

[NG言葉]

(ここに、言い換えたい言葉をそのまま書いてください)

プロンプト例4:外国人介護士向けの日本語調整

あなたは日本の介護施設で働く外国人介護士の日本語指導者です。

以下のカタコトの日本語を、日本人の高齢者にも伝わりやすい、自然で丁寧な敬語に直してください。

意味は変えず、介護現場で使いやすい表現にしてください。

[修正したい日本語]

(ここに、外国人介護士さんの日本語フレーズを書いてください)

プロンプト例5:指導・教育用のフィードバック付き言い換え

あなたは介護施設の教育担当者です。

以下のNG言葉を、利用者さんの尊厳を守る表現に言い換えてください。

その上で、「このNG言葉にはどんなリスクがあるか」「どう言い換えると良いか」を、新人職員にも分かりやすい形で解説してください。

[NG言葉]

(ここに、言い換えたい言葉をそのまま書いてください)


2-3.実践例:AIで変換した介護の声かけ20選

実際にAIを使って、「もっと優しく、安心できるように」と指定して変換してみた例です。

日常ケア場面でのAI変換例

NG声かけ(入力)AI提案(出力)ポイント
早くしてください「急がなくて大丈夫ですよ。もしよろしければ、少しずつ準備をご一緒しましょうか?」焦らせず、「一緒にやる」という姿勢で安心感を伝える。
また漏らしたんですか「間に合わなくてびっくりされましたね。大丈夫ですよ、さっぱりして気持ちよく過ごしましょうね。」失敗を責めず、「きれいにしてスッキリする」という心地よさに目を向ける。
なんでそんなことをするんですか「何か気になられることがありましたか?よかったら、お話を聞かせていただけませんか?」行動を否定せず、その奥にある「伝えたいこと」を知ろうとする。
わがまま言わないでください「そうされたいお気持ちがあるんですね。どうすれば一番心地よく過ごせるか、一緒に考えさせてください。」要望を「わがまま」とせず、「大切な気持ち」として受け止める。
泣かないでください「涙が出るほど、おつらいお気持ちだったんですね。落ち着くまでそばにいますから、大丈夫ですよ。」涙を止めようとせず、感情を出し切れるように寄り添う。
そんなこともできないんですか「少しやりにくいところがありますよね。お手伝いしますので、できるところをご自身のペースでやってみませんか?」できないことではなく、「できること」に目を向けて支える。
もういいです「今日はここまで頑張られましたね。続きはまた今度にして、今はゆっくり休みましょうか。」投げ出すのではなく、「休息の提案」として前向きに切り上げる。
ちゃんとしてください「安全に過ごしていただきたいので、ここだけ一緒に確認してもよろしいですか?」曖昧に叱るのではなく、相手を大切に思うからこその確認だと伝える。
何回も同じこと言わせないでください「ご心配で、何度も確認したくなりますよね。大丈夫ですよ、今は〇〇の時間ですので安心してくださいね。」不安からくる確認であることを理解し、何度でも温かく答える。
大したことないですよ「〇〇が気になって、ご不安なんですね。そのお気持ち、よく分かります。少しでもホッとできる方法を探しましょうか。」相手にとっての「重大さ」を否定せず、共感して安心感を送る。

困難場面(BPSD・家族対応など)でのAI変換例

NG声かけ(入力)AI提案(出力)
ここがあなたの家ですよ「お家のことが懐かしく思い出されるんですね。〇〇さんにとって、そこは一番安心できる場所だったんですね。」
徘徊しないでください「体を動かしたいお気持ちなんですね。転ぶと危ないので、よろしければ私が腕をお貸ししましょうか?」
怒らないでください「とても嫌な思いをさせてしまったようで申し訳ありません。どんなことがお辛かったか、教えていただけますか?」
そんな作り話しないでください「〇〇さんには、そう見えていらっしゃるんですね。怖くなかったですか?私がそばにいるので安心してくださいね。」
面会時間は決まっているので「ご家族に会いたいお気持ち、痛いほど分かります。限られた時間で申し訳ないのですが、できるだけゆっくり過ごせるよう配慮しますね。」
覚悟してください「これからのこと、ご不安かと思います。私たちも全力で支えますので、一緒に一番良い方法を考えていきましょう。」
それは無理です「ご希望に添えず心苦しいのですが、今の状況でできる精一杯のことをさせていただきたいと思っています。」
家族で決めてください「ご家族だけで決めるのは、とても荷が重いことだと思います。私たちもチームの一員として、一緒に悩み、考えさせてください。」
そんな質問をされても困ります「大切なことですので、いい加減なお答えはできません。しっかり確認して、責任を持って後ほどお伝えしますね。」
もう限界です「私たちも今のままでは十分なケアができず、申し訳なく思っています。ご本人もご家族も、そして私たちも笑顔でいられる方法を、一度みんなで話し合いたいです。」

3.声かけ言い換えの基本:3つの原則

AIに頼るだけでなく、自分自身でも言葉を選べるようになりたい。

そんな方は、以下の3つの「軸」を意識するだけで、声かけは大きく変わります。

2-1.原則1:命令形を「依頼形」や「提案形」に変える

「〜してください」という命令形は、どうしても上からの指示になりがちです。

そこで、「依頼形」や「提案形」に柔らかく変えることを意識します。

  • NG(命令): 「こちらに座ってください」
  • OK(依頼・提案): 「こちらのお席、座り心地が良いですよ。よろしければお掛けになりますか?」

指示ではなく「提案」することで、選ぶのはあくまで利用者さん本人、という関係性を保つことができます。

2-2.原則2:否定語を「肯定語」や「代替案」に変える

「ダメです」「〜しないでください」などの否定語は、相手の行動そのものを否定してしまう強いメッセージになります。

否定形の代わりに、「どうしてほしいか」「何なら安全か」を伝えるイメージで言葉を選びます。

  • NG(否定・禁止): 「ベッドから立ち上がらないでください」
  • OK(肯定・代替案): 「まだ少しふらつきやすいので、こちらのナースコールで呼んでいただけますか?一緒に立ち上がりましょう」

行動を否定するのではなく、「安全な選択肢」を具体的に示してあげることがポイントです。

2-3.原則3:主語を「私」から「あなた」に変え、相手を主役にする

親切心から「私がやりますね」と言ってしまうことがありますが、これが続くと「自分は何もできない」という感覚につながることがあります。

  • NG(主語が「私」): 「私が着替えさせますね」
  • OK(主語が「あなた」): 「お着替えで難しいところはありますか?手の届きにくいところだけ、お手伝いしてもよろしいですか?」

主語を「あなた」にして、「あなたがどう感じているか」を確認しながら進めることで、利用者さんの自立心を守ることができます。


4.【保存版】介護の声かけ言い換え辞典100選

ここからは、場面別にNG言葉とOK言葉を100個紹介します。
コミュニケーションの参考にしてくださいね。

すべて覚える必要はありません。今、悩んでいる場面をタップして開いてみてください。

3-1.食事介助の声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
1早く食べてくださいご自分のペースで大丈夫ですよ。冷めないうちに、ご一緒にいかがですか?
2こぼさないでくださいねお膝にナプキンをお掛けしますね。ゆっくり召し上がってください
3好き嫌いしないでください少しだけ味見してみませんか?難しければ、他に召し上がりやすいものを考えましょう
4残さないでください今、どのくらいなら召し上がれそうですか?その分だけお皿にお取りしますね
5手が汚れますよ手づかみだと食べやすいですね。あとで一緒に手をきれいにしましょう
6まだ食べ終わってないですか?あとどのくらいで食べ終わりそうですか?急がなくて大丈夫ですよ
7飲み込んでからしゃべってくださいお話も聞かせてくださいね。飲み込んでからゆっくり教えていただけますか?
8こぼしましたよ少し落ちてしまいましたね。一緒にきれいにしましょう
9自分で食べてくださいご自分で召し上がれそうなところまでやってみませんか?難しいところはお手伝いしますね
10もう終わりにしますそろそろお時間ですが、あと一口だけ挑戦してみますか?無理はしなくて大丈夫ですよ
3-2.排泄介助の声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
11トイレ行きますよお手洗いはいかがですか?このあと少し時間があきますので、ご一緒に行っておきましょうか
12また漏らしたんですか間に合わなかったんですね。びっくりされましたよね。一緒にきれいに整えていきましょう
13なんで呼ばなかったんですか呼ぶタイミングが難しかったですよね。次はどうしたら安心していただけそうか、一緒に考えてもよろしいですか?
14トイレはさっき行きましたよねまた行きたくなった感じがありますか?不安があれば、もう一度確認しておきましょうか
15一人でできますよね?どのあたりまでご自分でやってみられますか?届きにくいところがあれば、お手伝いします
16立ってください今からゆっくり立ち上がりますね。足元を支えますので、準備ができたら教えてください
17オムツだから大丈夫ですもし不安でしたら、こまめに確認しますね。気になる時はいつでも呼んでください
18ここで待っていてください少しお時間をいただきますが、この場所でお待ちいただけると安心です。寒くないように毛布をかけますね
19汚れていますよ少しお洋服が濡れてしまいましたね。着替えると、きっと気持ちがいいですよ
20我慢してください今ちょうど準備をしています。できるだけ早くご案内しますね
3-3.入浴介助の声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
21お風呂入りますよそろそろお風呂の時間ですが、今のお体の具合はいかがですか?行けそうでしたらご一緒しましょうか
22拒否しないでください今日はあまり乗り気になれない感じでしょうか?どうしてそう感じるのか、よかったら教えていただけますか?
23服を脱いでくださいこのあと、順番にお手伝いしますね。上着からゆっくり脱いでいきましょうか
24怖くないですよ少し不安な感じがしますか?滑らないように、しっかりお支えしますね
25頭をもっと下げてくださいお湯が目に入らないように、少しだけ顎を引いていただけますか?難しければ、こちらで支えますね
26じっとしていてください安全のために、今はこの姿勢を保っていただけると助かります。辛くなったらすぐ教えてくださいね
27さっさと上がりましょうそろそろ湯冷めが心配になってきました。あと一回お湯をかけたら、上がる準備をしましょうか
28文句を言わないでくださいお気持ちが落ち着かないですよね。どのあたりがご負担に感じられているか、教えていただけますか?
29髪が濡れるのは仕方ないです髪が濡れるのが気になりますよね。タオルを当てながら、できるだけ負担の少ない方法で洗っていきますね
30みんな入っていますよ他の方も、それぞれのペースで入っておられます。〇〇さんにとって一番安心できる入り方を、一緒に探していきましょう
3-4.移乗・移動介助の声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
31立ってください今から一緒に立ち上がりますね。足元を支えますので、『いいですよ』の合図をいただけますか?
32重いですねしっかり体重を預けてくださって大丈夫ですよ。安全に移動できるよう、こちらで支えますね
33そんな歩き方じゃダメです少し歩きにくそうですね。足を出すタイミングを一緒に合わせてみましょうか
34座り方が悪いですもう少しだけ深く腰かけていただくと、楽に座れそうです。少しだけお尻を後ろにずらしてみましょうか
35車椅子に乗ってください今日は車椅子を使うと、移動が少し楽になると思います。試してみませんか?
36一人で歩けますよねどのくらいまでなら、ご自分で歩いてみられそうですか?不安なところは、こちらで支えますね
37手すりをちゃんと持ってくださいこの手すりをつかむと、ぐっと安定しますよ。僕も横で見守っていますね
38転んだら大変ですよ安全のために、ゆっくり一歩ずつ進んでいきましょう。疲れたらすぐお声かけください
39そこで待っていてくださいここでお待ちいただけると、安全にご案内できます。寒くないように、膝掛けをお持ちしますね
40動かないでください今は、この姿勢を保っていただけると、とても安全です。辛くなったら、遠慮なく教えてくださいね
3-5.服薬介助の声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
41この薬を飲んでくださいお体を守るための大切なお薬です。お水と一緒に、少しずつ試してみませんか?
42飲まないとダメですよお薬を飲むと、〇〇の症状が和らぎやすくなります。ご不安な点があれば、教えていただけますか?
43また残しているじゃないですか今日は、飲むのが少し大変そうですね。粒の大きさや飲み方について、一緒に工夫してみましょうか
44嫌がらないでくださいお薬を飲むのが、あまりお好きではないんですよね。そのお気持ちも大切にしながら、楽な方法を探してみましょう
45すぐ飲んでください準備ができたら教えてくださいね。ゆっくりで大丈夫ですよ
46口を開けてくださいお口に入れやすいように、少しだけ口を開けていただけますか?難しければ、別の方法も考えてみます
47水はこれだけですお水の量は、このくらいでいかがですか?足りなければ、もう少し足しましょう
48噛まないで飲んでくださいこのお薬は、噛まずに飲んでいただくとよく効きます。もし飲み込みにくければ、ゼリーなども考えてみましょう
49文句を言わないでください味や飲み心地が気になりますよね。気になっているところを教えていただけると、工夫がしやすくなります
50忘れないでくださいよ明日も同じ時間にお持ちしますね。一緒に続けていけるよう、工夫していきましょう
3-6.認知症BPSD(帰宅願望・不安・繰り返し)への声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
51ここがあなたの家ですよお家のことが気になっておられるんですね。どんな家でしたか?少しお話を聞かせていただけますか?
52もうその話はやめてください大切な思い出なんですね。もう少し詳しく聞かせていただいてもいいですか?
53さっきも同じことを言いましたよご不安なんですね。今は〇〇の時間ですよ、ともう一度お伝えしますね
54違いますよ、間違えていますそう感じておられるんですね。〇〇さんにとっては、そう見えているんですね
55怒らないでくださいとても嫌な気持ちになられたんですね。そのお気持ちを教えていただけますか?
56泣かないでください涙が出てしまうほどのお気持ちなんですね。そばにいますので、ゆっくりお話をうかがわせてください
57徘徊しないでください歩きたいお気持ちがあるんですね。安全な場所を一緒に歩きましょうか
58そんなことは起きていませんそう見えて、とても不安になられたんですね。こちら側ではこう見えているのですが、一緒に確認してみましょうか
59イライラしないでください落ち着かないお気持ちが続いていますね。その原因になっていそうなことはありますか?
60勝手なことをしないでください〇〇なさりたい気持ちがあるんですね。安全な方法でできるよう、一緒に考えてみませんか?
3-7.夜間対応・不眠・ナースコールへの声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
61何度も呼ばないでください何度も呼びたくなるほどご不安なんですね。夜は特に心細いですよね
62さっきも同じことを聞きましたよ気になってしまうんですね。もう一度お答えしますね
63眠れないなら目をつぶっていてください眠れないとつらいですよね。少しお茶を飲んだり、体勢を変えてみたりしましょうか
64我慢してください今すぐには全ては変えられないかもしれませんが、できる範囲で工夫してみますね
65寝てください体を休める時間にしていけると良いですね。明かりを少し落として、静かな環境を作りますね
66またトイレですか夜のお手洗いがご不安なんですね。転ばないように、毎回ご一緒しますね
67大したことないですよ〇〇が気になって、おつらいですよね。そのお気持ちを大事にしながら、少しずつ楽になる方法を探していきましょう
68さあ、もう寝る時間ですそそろそろ休む準備を始めてもよさそうなお時間ですね。一緒に整えていきましょうか
69静かにしてください周りで休んでいる方もいらっしゃるので、少し声のボリュームを落としていただけると助かります
70今は忙しいので後にしてください今、ほかの対応をしていて、あと〇分ほどで伺えます。お待たせしてしまいますが、必ず参りますね
3-8.リハビリ・機能訓練の声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
71もっと頑張ってくださいここまでよく頑張ってこられましたね。あと一回だけ一緒に挑戦してみませんか?
72それではリハビリになりません安全を優先しつつ、少しだけ負荷を上げてみると、動きやすくなるかもしれません。一緒に試してみましょうか
73サボらないでください今日はやる気になりにくい日かもしれませんね。今の体調に合わせて、できる範囲で進めてみましょう
74痛くても我慢してください痛みが強くならない範囲で、少しだけ動かしてみましょう。つらくなったらすぐ教えてください
75できないと困りますよこの動きができるようになると、〇〇が少し楽になりそうですね。今は、その準備の時間だと思って取り組んでみましょう
76他の人はもっとできますよ〇〇さんのペースで大丈夫ですよ。昨日より少しでも楽になっているところがないか、一緒に探してみましょう
77やる気がないならやめましょう今日は気持ちが前に向きにくい日ですね。そのお気持ちも大切にしながら、ほんの少しだけ体を動かしてみませんか?
78真面目にやってください安全のためにも、この動きだけは丁寧に確認していきたいところです。一緒にやってみましょうか
79ふらふらしないでください少しふらつきますね。椅子や手すりを使いながら、安心してできる方法を試してみましょう
80そんなやり方ではダメです今のやり方も一つの方法ですね。もう少し楽になる別のやり方も、ご提案してみてもよろしいですか?
3-9.レクリエーション・日常会話の声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
81参加したくないならいいです今日はあまり参加したい気分ではないんですね。見るだけでも構いませんし、『このくらいなら』という形があれば、一緒に考えてみましょうか
82そんなこともできないんですか少し難しいですね。できそうなところを一緒に探してみませんか?
83ちゃんと聞いてください説明が少し分かりづらかったかもしれません。もう一度、ゆっくりお伝えしてもよろしいですか?
84静かにしてくださいほかの方も集中していらっしゃるので、少しだけ声のボリュームを落としていただけると助かります
85わがままを言わないでくださいそうしたい理由があるんですね。よかったら、その理由を教えていただけますか?
86つまらないと言わないでください物足りなさを感じておられるんですね。どんなことなら楽しめそうか、ぜひ教えていただけますか?
87話が長いですたくさんの思い出がおありなんですね。続きは、またお茶の時間にも聞かせてください
88いつも同じ話ですねそのお話、とても大切な思い出なんですね。何度聞いても、その時の景色が目に浮かぶようです
89子どもみたいですよ少し心細いお気持ちなんですね。そばにいますので、安心してください
90そんなことを言わないでくださいそう感じておられるんですね。そのお気持ちに寄り添える言葉を、一緒に探していきたいと思っています
3-10.家族対応・終末期ケアの声かけ(タップして開く)
NoNG言葉OK言葉(言い換え例)
91面会時間は決まっているので面会の時間が限られていて、ご心配になりますよね。決まりの範囲で、できるだけ柔軟に対応できるよう考えてみます
92そんなに心配しなくて大丈夫ですとてもご心配なお気持ち、お察しします。気になっている点を、一つずつ一緒に整理していきましょう
93もうできることはありませんこれまでたくさんのことを一緒に頑張ってこられました。これからは、少しでも楽に、安心して過ごしていただけるような関わりを大切にしていきたいと思っています
94涙を見せないでください大切な方のことですものね。涙が出てしまうのは当然だと思います。ここでは、どんなお気持ちも出していただいて大丈夫ですよ
95覚悟してくださいこれからの見通しについて、正直にお伝えしてもよろしいでしょうか。そのうえで、どのように支えていけるか一緒に考えていきたいです
96忙しいので簡単にお願いしますお時間が限られていて申し訳ありませんが、特に気になっていることを優先して教えていただけますか?
97それは医師に聞いてください大切なご質問ですね。医師に確認したうえで、分かりやすくお伝えします。私の方から共有をお願いしておきますね
98家族で決めてくださいとても悩ましいことですよね。ご家族だけで抱え込まずに済むように、選択肢とそのメリット・デメリットを一緒に整理していきましょう
99ここではそういうことはできません今の体制では難しい部分もありますが、近い形でできることがないか、他の職種とも相談してみますね
100もう限界です職員としても大きな負担を感じている状況です。配置やケア方法を見直しながら、ご本人とご家族の思いにできる限り寄り添っていきたいと思っています

5.よくある介護のNG言葉5パターン

ここまでの100フレーズを、よくある「NG言葉のパターン」で整理し直してみます。

自分の口ぐせを振り返る時のチェックリストとして使ってください。

パターン具体例OKへの変換ポイント
① 命令・強制「〜してください」「〜しなさい」「〜しますよ」依頼・提案へ
「〜していただけますか?」「〜はいかがでしょうか?」と変える。
② 否定・禁止「ダメです」「〜しないでください」「やめてください」肯定・具体策へ
「危ないので〇〇していただけると安心です」「こちらの方が安全です」と望ましい行動を示す。
③ 責める・詰問「なんで〜しないんですか」「またですか」「どうしてできないんですか」背景の探索へ
「難しかったところはどこですか?」「どんな時にやりづらく感じますか?」と背景を一緒に探す。
④ 子ども扱い・馴れ馴れしい赤ちゃん言葉、あだ名呼び捨て、タメ口など大人の対応へ
基本は「一人の大人」として、敬語や丁寧語をベースに、好みに合わせた呼び方・話し方を選ぶ。
⑤ 気持ちを否定「大したことないです」「そんなこと言わないでください」「気にしないでください」受容と共感へ
「そう感じておられるんですね」「ご不安なお気持ち、よく分かります」と感情を受け止める。

6.ケアテック最前線:AI×介護コミュニケーションの未来

最後に、少し先の未来の話も。

AIやケアテックの発展によって、「声かけ」の支援は、これからもっと進んでいきます。

6-1.音声入力で声かけを自動変換

将来的には、介護職が話した言葉を、その場でAIが分析し、次のような支援も現実味を帯びてきています。

  • 否定的な表現を、より柔らかい言葉に提案し直す
  • 認知症ケアに適した声かけに言い換える

「言葉に気をつけなきゃ」と身構えるのではなく、「AIと一緒に言葉を整えていく」という発想です。

6-2.AIが声かけを振り返り、学びに変える

記録システムやセンサーと連携することで、AIが振り返りレポートとして示してくれる時代が来るかもしれません。

  • どんな声かけをしたときに介護拒否が減ったか
  • どんな言葉が不安や混乱につながりやすかったか

「なんとなくうまくいった」「なんとなくうまくいかなかった」という経験を、「チーム全体で共有できる学び」に変えていける可能性があります。

6-3.外国人介護士と日本語コミュニケーションの橋渡し

今後、介護現場で外国人介護士の方々はますます増えていきます。

その中で、以下のような点をAIが日本語教師のようにサポートしてくれると、現場の負担は大きく減ります。

  • 敬語のニュアンス
  • 日本の高齢者が心地よく感じる言い回し
  • 避けた方が良い表現

「伝わらないストレス」を減らし、「一緒に学ぶ仲間」として外国人介護士さんを迎えられる環境づくりにも、AIは力を発揮してくれます。


7.無料ダウンロード:PDF&ブラウザツール

記事の内容を、現場でそのまま使いやすくするために、以下の3つを「無料」で使える形にまとめています。

  1. 声かけ言い換え辞典100選(PDF)
  2. 介護の声かけ変換ブラウザツール
  3. AIプロンプト集(PDF)

7-1.声かけ言い換え辞典100選(PDF)

この記事の100フレーズを、場面別に一覧にしたPDFです。

  • 新人研修の資料
  • リーダーが指導に使うときの教材
  • 休憩室に貼っておく「言葉の見直しポスター」
  • マニュアルのサポートに使える!

など、さまざまな場面で活用していただけます。

7-2.介護の声かけ言い換えブラウザツール

ブラウザ上で使える「声かけ・言い換えサポートツール」です。PCやスマホからすぐに開いて、介護現場での声かけをその場で見直したり、優しい表現のアイデアをサッと確認できます。

このツールでは、声かけの言い換え例だけでなく、「AIにそのまま投げられるプロンプト文」も一緒に表示されます。
表示されたプロンプトをコピーして、ChatGPTなどのAIに貼り付ければ、さらに言い換えパターンを増やしたり、自分の事業所向けにカスタマイズした表現を作っていくこともできます。

例えば、次のような使い方ができます。

  • 場面(シーン)から探す(入浴拒否、帰宅願望、夜間不穏などの場面別フレーズを表示)
  • 自分の言葉をそのまま入力して、「やわらかい言い換え」を自動提案してもらう
  • 出力された「AI用プロンプト」をコピーして、ChatGPTなどに貼り付け、場面や利用者さんの状態に合わせたオリジナル声かけ案をどんどん増やしていく

「今の声かけ、これでよかったのかな…」と思ったときに、自分で振り返りながら学べる小さなトレーニング教材として使えるほか、AIと組み合わせて「自分たちの施設オリジナルの声かけ辞典」を育てていくベースとしても活用できます。

7-3.AIプロンプト集(PDF)

先ほど紹介したプロンプト例を、もう少し種類を増やして一覧にしたものです。

  • 新人教育用
  • 外国人介護士の日本語ブラッシュアップ用
  • 施設内研修でのグループワーク用

など、用途別にそのままコピペして使える形にしています。


8.まとめ:今日から使える3つのフレーズ

最後に、今日からすぐに使えるフレーズを3つだけ、心にしまっておいてください。

  1. 「〜していただけますか?」命令ではなく、「お願い」の形にするだけで、空気が柔らかくなります。
  2. 「お手伝いしましょうか?」「全部やりますね」ではなく、「必要な部分だけ一緒に」というスタンスを伝える言葉です。
  3. 「おつらいですね」正論より先に、「気持ち」を受け止める一言。たったそれだけで、利用者さんの表情がふっと和らぐことがあります。

声かけは、毎日の小さな積み重ねです。

完璧でなくて大丈夫です。
困った時は周りやAIにも頼りながら、一日に一つだけでも、「昨日より少し優しい言葉」を選んでみてくださいね。

この記事が、あなたと利用者さんの間に、少しでも心地よいそよ風を運べたらうれしいです🌱

最後まで読んでいただきありがとうございました✨

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