1. はじめに:その介護記録、ただの作業報告になっていませんか?

こんにちは、介護士のやなぎです。
以前はIT企業で仕事をしていて、今は特別養護老人ホームで主任をしています。
畑違いのキャリアですが、この「介護×IT」の経験が、僕の記録業務への考え方を180度変えてくれたんですよね。
日々のケアで手一杯なのに、山のような記録業務…。



「ああ、今日も記録で残業だ…」
「一体、何を書いたら正解なんだろう?」
「正直、監査とか実地指導って言葉を聞くだけで胃が痛い…」
なんて感じていませんか?
すっごく分かります。
僕も昔は、記録が本当に苦手でした。


この記事を読めば、あなたの記録は劇的に変わる!
実は、この記事を読んでいただければ、あなたの記録業務は劇的に変わります。
- 監査で指摘されない、根拠のある記録がスラスラ書けるように。
- 記録時間が短縮されて、利用者さんと向き合う時間が増える。
- SOAPなんて怖くない!自信を持って多職種と連携できる。
- そして何より、記録を通じて仕事がもっと楽しくなる!
こちらの記事に僕が制作した、介護記録の書き方の学習やサポートに役立つ「AI介護記録アシスタント」というツールが載っています!
誰でも簡単に使えるように作りましたので、ぜひ一度お試しください♪





僕は趣味でベランダ菜園をやっているんですが、介護記録って、日々のケアという畑の「成長記録」みたいなものだと思うんです。
どんな種(ケア)をまいて、どんな変化があったか。
それを正しく記録すれば、やがて豊かな実り(利用者のより良い生活)に繋がります。
この記事で、その”栽培テクニック”を、僕の経験を交えながら余すところなくお伝えしますね!
2. 結論:良い介護記録とは「未来を創るエビデンス」である
さて、いきなり結論からお話しますね!
僕たちが目指すべき「良い介護記録」とは、一体何でしょうか。
それは単なる作業報告や日記ではありません。
僕の考える良い記録とは、❝「利用者の未来をより良くするために、チームのケアを導き、いざという時に自分たちを守る、法的根拠のある証拠(エビデンス)」❞のことです。
「うわ、なんか難しそう…」って思いましたか?
大丈夫です。
要は、ただの感想文じゃなくて、❝「チーム全員の羅針盤」であり「プロの仕事の証明書」❞になるような記録を目指そうよ、ってことなんです。
良い記録を書くために必要な3つの力
そのために必要な力は、たったの3つ。
- 【技術力】:誰が読んでも情景が浮かぶように「客観的な事実」を描写する力。
- 【思考力】:起きた出来事の背景を読み解き、「じゃあ、次はどうする?」と未来に繋げるアセスメントの力。
- 【効率化力】:ITや便利なツールを恐れずに使いこなし、記録業務そのものを最適化していく力。
これらは、特別な才能じゃなくて、誰でも身につけられる「スキル」です。
「センスがないから…」なんて諦める必要は全くありません。
一つひとつ、具体的な方法をこの先でじっくり解説していきますから、安心してついてきてくださいね!
この3つの力を育てていけば、あなたの記録は間違いなく「未来を創るエビデンス」へと進化します。


3. なぜ私たちは記録を書くのか?その3つの本質的な理由



「そもそも、なんでこんなに記録、記録って言われるんだろう?」
その根本的な理由を知ると、記録への向き合い方がガラッと変わりますよ。
僕たちが毎日記録を書くのには、❝ちゃんとした3つの本質的な理由❞があるんです。


3-1. 【防御】あなたと利用者を守る「盾」になるから
まず一番大事なことをお話しますね!
記録は、❝あなた自身と、あなたがケアする利用者さん、そして職場を守るための「盾」❞になります。
法的根拠としての重要性
介護の仕事は、残念ながら常にリスクと隣り合わせですよね。
転倒、誤嚥、皮膚トラブル…。
万が一、事故が起きてしまった時、あるいはご家族から「本当に適切なケアをしてくれたのか?」と疑問を呈された時可能性もあります。
その時に❝「私たちは、これだけの情報を元に、このように判断し、適切なケアを提供していました」❞と客観的に証明できる唯一のものが、日々の介護記録なんです。
介護保険法でも記録の作成と保存は義務付けられていますし、監査や実地指導では「記録がなければ、やっていないのと同じ」と見なされるのが現実です。
これは脅しでも何でもなく、それだけ記録が持つ「公的な証拠能力」が重い、ということなんですよね。
★ 私の失敗談 ★



ここで一つ僕の失敗談をお伝えします。
僕がまだ新人だった頃の話です。
ある利用者さんが居室で転倒してしまいました。僕は焦りながらもリーダーに報告し、記録用紙に「居室にて転倒された」とだけ書いたんです。もう、頭が真っ白でそう書くのが精一杯でした。
後から駆けつけたリーダーに「これだけじゃ何も分からないだろ!」と、ものすごく叱られました。
「いつ?どこで?どうやって転んで、どこを打ったの?本人の意識は?バイタルは?何か訴えは?」と。
僕の曖昧な記録のせいで、状況把握と原因究明が遅れ、効果的な再発防止策を立てるのも後手後手になってしまいました。もしこの転倒が、もっと大きな事故に繋がっていたら…と考えると、今でも背筋が凍ります。
この手痛い失敗から、僕は❝「事実を5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)で具体的・客観的に書く」❞ことの重要性を、骨身に染みて学びました。
自分のためじゃない、利用者の安全を守るために、記録は書くんだと。


3-2. 【連携】チームケアの質を高める「羅針盤」になるから
次に、記録は❝チームケアの「羅針盤」❞としての役割を担います。
多職種連携の「共通言語」
介護の現場は、介護士だけでなく、看護師、リハビリ専門職、ケアマネジャー、医師など、多くの専門職が連携して一人の利用者さんを支えていますよね。
その多職種チームが、同じ目標に向かって進むために必要な共通言語、それが介護記録なんです。
例えば、リハビリ職が「今日は歩行訓練でふらつきが見られた」と記録してくれれば、介護士は「夜間のトイレ介助は特に注意しよう」と備えることができます。
介護士が「最近、食事中にむせることが増えた」と記録すれば、看護師や管理栄養士が「食事形態の変更を検討しよう」と動いてくれます。
24時間365日、誰かが利用者さんのそばにいる。
そのケアを切れ目なく繋いでいくための「命綱」が、私たちの書く記録なんですよね。
僕の書いた一行が、夜勤の同僚を助け、明日の看護師さんの判断材料になる。
そう考えると、自分の仕事がチーム全体に影響を与える、すごく重要な役割なんだって思えませんか?


3–3. 【専門性】あなたの介護の価値を証明する「証」になるから
そして3つ目です。
記録は、❝あなたの「専門性」を証明するための大切な証(あかし)❞になります。
介護の価値を「見える化」する
私たちの仕事は、ただ身の回りのお手伝いをするだけではありませんよね。
一人ひとりの利用者さんの状態を観察(アセスメント)し、その人らしい生活を送るためには何が必要かを考え、ケアプランに基づいて専門的なケアを実践しています。
その一連のプロフェッショナルな営みを、形として示せるのが介護記録なんです。
「ケアプランの目標(例えば、穏やかに過ごせる時間が増える)に対して、こんなケア(日中のレク参加を促した)を実践した結果、こんな良い変化(笑顔が増え、会話が増えた)が見られた」と記録に残す。
これは、あなたの行った介護の価値を、誰の目にも明らかな形で証明していることになります。
ただ「レクに参加した」と書くのではなく、「〇〇様、大好きな歌謡曲の音楽レクに誘うと『行ってみようかね』と笑顔で参加。歌に合わせて手拍子をされ、30分間楽しそうに過ごされていた」と書いたとします。
そこにはあなたの❝「専門職としての観察眼」❞が光ります。
記録は、あなたの仕事を正当に評価してもらうための、強力なプレゼン資料でもあるんですよ。
4. 具体例:明日から実践!記録の質と速度を爆上げする3つのステップ
では、いよいよ実践編です!
ここからは「じゃあ具体的にどうすればいいの?」という疑問に、3つのステップでお答えしていきます。
これを真似するだけで、あなたの記録は明日から変わりますよ!
4-1. ステップ1【技術編】:まずは基本!NG記録をOK記録に変える例文集
文章力に自信がなくても大丈夫。
まずは、この基本ルールと例文を意識するだけで、記録の質はグッと上がります。
記録の基本ルール
- 5W1Hを意識する(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)
- 客観的な事実と、主観(本人の訴えなど)、書き手の評価は分けて書く
- 曖昧な言葉(しっかり、たくさん、穏やか)を避け、具体的な言葉や数字で書く
シーン別OK・NG例文
- 【食事介助】
- NG記録:「昼食は完食された」
- OK記録:「13:00、食堂にて昼食。主食・副食ともに全量摂取。スプーン操作は自立。
むせ込みなく、30分で食べ終える。食後『今日の魚は美味しいね』と笑顔で話されていた」
- 【排泄介助】
- NG記録:「トイレで失禁あり」
- OK記録:「14:15、訪室時にリハビリパンツ内に中等量の軟便失禁あり。皮膚の発赤やただれはなし。本人は『気づかなかった』とのこと。清拭後、新しいリハビリパンツに交換」
4-2. ステップ2【思考法編】:最強の武器「SOAP」を使いこなせ!



「SOAP(ソープ)」って言葉、聞いたことありますか?
これは、情報を整理してアセスメントするための、めちゃくちゃ便利な思考のフレームワークです。
SOAP形式とは?
- S (Subjective):主観的情報(利用者本人や家族の訴え、話したこと)
- O (Objective):客観的情報(バイタルサイン、観察した事実、検査データなど)
- A (Assessment):評価・アセスメント(SとOの情報から、状態をどう解釈・評価したか)
- P (Plan):計画(Aに基づいて、今後どのようなケアを行うか、または継続するか)
★ ゲームに例えると… ★
僕は昔からRPGゲームが大好きなんですが、SOAPって、まさにボス戦の分析と作戦会議なんですよね。
ボスの厄介な攻撃(S: 利用者の訴え)や、
HPの減り具合(O: 客観的情報)を戦闘ログで分析して、
「あ、この敵は炎属性が弱点だな」(A: アセスメント)と見抜く。
そして、「よし、次のターンは炎属性系の魔法で攻めよう!」(P: 計画)と作戦を立てる。
こう考えると、
❝アセスメントってただの面倒な作業じゃなくて、謎を解き明かすワクワクするプロセス❞だと思えませんか?
SOAP形式の具体例
- S:「なんだか夜、眠れないんだよ。足がムズムズして」
- O: 22時の巡視時、ベッド上で頻繁に足を動かしている。
昨日、日中のレクリエーションにいつもより長く参加し、歩行距離が多かった。下腿に軽度の浮腫あり。 - A: 日中の活動量増加に伴う、下肢の疲労や倦怠感から入眠困難になっている可能性がある。
- P: 就寝前に10分程度の足浴を実施し、下肢をマッサージする。
明日の日勤帯に、夜間の睡眠状況と下肢の状態変化を報告し、ケアを継続するか検討してもらう。
4-3. ステップ3【効率化編】:元IT担当が教える!記録業務の時短テクニック
最後に、元IT担当の僕から、記録業務そのものを楽にするコツをお伝えします。
ICTツールを味方につける
もし職場に介護記録ソフトが導入されているなら、使わない手はありません。
「よく使う文章」を登録できるテンプレート(定型文)機能や、話した言葉を文字にしてくれる音声入力機能は、時短の強い味方です。
「すぐメモ」の習慣化
ケアの合間に、ポケットのメモ帳やスマホのメモアプリにキーワードだけでもいいのでメモしておく。
「14時、佐藤様、ため息多い」
「15時、鈴木様、お茶拒否」
後で記録を書くときに、思い出す時間がゼロになります。
★ 私の成功談② ★



ここで一つ、今度は私の成功体験をお話させてください。
僕が特養に務めてしばらくした頃、施設ではまだ多くの記録が手書きで、月末になると職員が何時間もかけて集計や転記作業をしていました。そこで僕は、元いたIT企業で叩き込まれたExcel VBA(マクロ)の知識を活かして、その作業を自動化するツールを作ったんです。ボタン一つで集計が終わるように。
最初は「パソコンは苦手だから…」と抵抗感を示していたベテラン職員も、実際に使ってみて残業が劇的に減ったことで、「やなぎ君、すごい助かる!ありがとう!」と声をかけてくれました。
その結果、生まれた時間で利用者さんと楽しそうに話している姿を見て、「ああ、ITって、人の温かさを増やすために使えるんだ」と心から嬉しくなりました。
ICT化は、決して仕事を無機質にするものではないんですよね。


5. 介護記録は面倒な作業ではなく「未来への投資」である
ここまで、介護記録の重要性や具体的な書き方についてお話ししてきました。
もう一度お伝えしたいのは、質の高い記録を書くことは、決して目先の業務を増やす「コスト」ではないということです。それは、❝未来に起こるかもしれないリスクを減らし、チームのケアの質を高め、結果的に未来の自分や仲間たちの仕事を楽にする、最高の「未来への投資」❞なんです。
記録を通じて、
「〇〇さんは、こういう声かけをすると笑顔になるんだ」
「最近、この時間になると不穏になるのは、もしかして…」
今まで気づかなかった利用者の新たな一面を発見できた時。
その発見をチームで共有し、ケアがより良い方向に変わっていった時。
あなたは、記録が持つ本当の力を実感するはずです。
面倒だった記録業務が、利用者をもっと深く知るためのやりがいのある時間に変わります。


【お悩み解決Q&A】
ここで、皆さんからよく聞かれる質問にお答えしますね!
- どうしても記録に書くことが思いつきません。どうすればいいですか?
-
すごく分かります。
そんな時は、「何か特別なことを書かなきゃ」って気負いすぎているのかもしれません。
まずは「いつもと違うこと探し」から始めてみませんか?
「いつもよりお茶を飲むペースが速いな」
「今日はあまり話さないな」
「あ、爪が少し伸びてきたな」
そんな❝小さな変化に気づくことが、アセスメントの第一歩❞です。
気づいたことを、まずは単語だけでもメモする。
その「気づきの種」を集める習慣が、豊かな記録に繋がっていきますよ。 - パソコンが本当に苦手で、ICT化についていけるか不安です…。
-
大丈夫です!
大切なのは、いきなり全部を使いこなそうとしないこと。
まずは、たった一つでいいので「これならできそう」という便利な機能を見つけて、それだけを徹底的に使ってみるのがオススメです。
例えば「よく使う文章のテンプレート登録」とか、よく使うショートカットキーを覚えてみるとか。
一つでも「お、便利じゃん!」という成功体験を積めると、苦手意識は少しずつ和らいでいきます。
焦らなくて大丈夫ですよ。 - SOAP形式が難しくて、特にアセスメント(A)が書けません。
-
わかります、SOAPでつまずく一番のポイントが「A」ですよね。
でも、最初から完璧なアセスメントなんて、誰も書けません!
まずは、S(本人の訴え)とO(客観的な事実)を、見たまま聞いたまま、しっかり書くことに集中してみてください。その二つがしっかりしていれば、アセスメントは後からチームで考えることもできます。
Aを書くコツは、「Oの情報から、Sの原因は何だろう?」と探偵みたいに仮説を立ててみること。
「〜かもしれない」「〜の可能性がある」でいいんです。
その仮説をカンファレンスで発表してみる。
最初は間違えていたっていいんです。他の人には気づけない、あなたにしか見えない視点もきっとあります。
それが、立派なアセスメントになっていきますから。
6. まとめ:今日からあなたの介護記録が変わるアクションプラン
最後に、この記事のポイントと、明日からすぐにできるアクションプランをまとめます。
本記事の超重要ポイント
- 良い介護記録は、❝あなたと利用者を守り、チームを強くする「未来を創るエビデンス」❞である。
- 基本は❝「5W1H」で「客観的な事実」❞を書くこと。NG例文を思い出してくださいね。
- 「SOAP」は、ケアの質を高める最強の思考ツール。ゲームのボス戦分析のように楽しんでみよう。
- ICTツールは怖くない。便利な機能から一つずつ試して、味方につけよう。
再度の宣伝となりますが、
こちらの記事に僕が制作した、介護記録の書き方の学習やサポートに役立つ「AI介護記録アシスタント」というツールが載っています!
誰でも簡単に使えるように作りましたので、ぜひ一度お試しください♪


明日からできる「はじめの一歩」
- まずは、食事か排泄の記録で、この記事の❝「OK例文」を一つ、そのまま真似して書いてみる❞
- 担当する利用者さんの❝「いつもと違うな」を一つだけ見つけて、ポケットのメモ帳に書き留めてみる❞
- 勇気を出して、同僚に「この記録、どう思う?」と見せ合いっこしてみる。
この小さな一歩が、あなたの記録業務、ひいては介護士としてのキャリアを大きく変えるきっかけになります。


7. おわりに:あなたの一行が、誰かの明日を支えている
介護記録は、一人で黙々とPCや記録用紙に向かう、孤独で退屈な作業…
もし、あなたが今までそう感じていたとしたら、それはすごくもったいない!
介護記録は、過去から現在、そして未来へとケアを繋ぐタイムマシンのようなものです。
仲間の知恵と自分の観察を共有し、一人の利用者さんの人生という壮大な物語に、専門職として寄り添っていく。
そんな、非常にクリエイティブで専門性の高い仕事だと僕は思っています。
あなたが何気なく書いているその一行が、
夜勤の同僚の判断を助け、看護師の気づきを促し、
巡り巡って、利用者さんの「その人らしい、穏やかな明日」を支える力になっています。
❝あなたの仕事には、それだけの価値があるんです❞
この記事が、日々の記録業務に悩むあなたの心を少しでも軽くし、「記録って、意外と面白いかも」と感じるきっかけになれたなら、元IT担当の介護福祉士として、とても嬉しいです。

