1.外国人の介護利用者が増えている背景
近年はスタッフだけでなく、入居者様も外国人が増えてきていますよね?
どういった背景とこれからの介護業界に必要なことは何ですか?

日本でも国際結婚や移住の影響があり外国人が増えてきています。
介護現場も例外なくこれから更なる国際化が進む可能性が高いので、言葉だけでなく、文化の違いも理解し一括りにせず一人ひとりに向き合った介護がより重要になっていくと考えられていますよ!
近年、日本の介護施設や在宅介護の現場で外国人の利用者が増えています。その背景には、国際結婚で日本に住み続ける高齢者や、仕事で日本に移住し、そのまま老後を迎えた方がいることが挙げられます。また、観光ビザからそのまま日本に定住し、介護が必要になるケースもあります。
しかし、言葉や文化の違いがあるため、介護の現場では様々な課題が出てきています。「食事の好みは?」「宗教的な配慮は必要?」「介護を受けることに抵抗がある?」など、考えることはたくさんありますよね。
例えば、日本では「ありがとう」と言うことで感謝を表す文化がありますが、一部の国では「お礼を言うより行動で示す」ことを重視する場合があります。そのため、日本人の介護スタッフが親切に介助しても、外国人利用者が言葉でお礼を言わないことがあり、コミュニケーションのずれが生じることもあります。
さらに、医療や介護習慣にも違いがあります。例えば、欧米では痛みを我慢せずにすぐに薬を服用することが一般的ですが、日本ではできるだけ薬を控える文化があります。また、アジアの一部の国では、家族が病気や介護の状況を直接医師と相談し、本人には詳細を伝えないこともあります。こうした違いを理解していないと、医療や介護の現場で戸惑うことが多くなります。そのため、介護スタッフは各国の医療・介護習慣を学び、利用者や家族と適切にコミュニケーションを取ることが重要になります。


2.外国人利用者への理解と対応が大切
外国人利用者をサポートするには、単に言葉を理解するだけでは不十分です。その方の文化や価値観、生活スタイルを尊重しながら、安心して介護を受けられる環境を作ることが大切です。例えば、食事の好みを聞くだけでなく、宗教的な理由で避けるべき食材を把握しておくことも重要ですよね。
また、介護に対する考え方は国によって違うため、利用者本人や家族との丁寧な対話を重ね、納得できる形で介護を進める必要があります。「この国の人だからこう」と決めつけず、一人ひとりの背景に寄り添うことが求められます。
さらに、外国人利用者の中には「介護施設に入ること自体が家族から見放されたと感じる」というケースもあります。例えば、あるフィリピン出身の高齢者は、祖国では家族が高齢者を支えることが当たり前だったため、日本の施設に入居することに強い不安を感じていました。このため、施設側は家族と定期的にオンライン通話ができる環境を整え、施設内で家族との手紙のやり取りをサポートしました。また、家族が日本を訪れた際には、介護スタッフが面会を円滑に進めるための工夫をし、家族と利用者の関係を維持する支援を行いました。このように、家族との連携を強化し、ビデオ通話などで常に繋がれる環境を作ることが、精神的な安心にもつながります。


3.文化や言語の壁が課題に
3-1.言葉の壁
言葉の問題は、介護の現場で大きな課題の一つです。日本語があまり話せない利用者は、体調の変化や希望を伝えるのが難しくなります。たとえば、「喉が痛い」と言いたくても言葉が出てこず、我慢してしまうことも。
あるベトナム人の高齢者は、日本語をほとんど話せませんでした。しかし、介護スタッフがベトナム語の基本単語を学び、簡単な会話ができるようになったことで、信頼関係が築かれ、意思疎通がスムーズになりました。ジェスチャーや絵を活用することで、少しずつお互いの理解が深まっていったのです。
また、最新の翻訳機器を活用することで、介護現場でもリアルタイム翻訳が可能になっています。例えば、「ポケトーク」や「ili(イリー)」といった携帯型翻訳デバイスを使用することで、介護スタッフと利用者が円滑に意思疎通できるようになっています。実際に、ある施設では、これらの翻訳機器を導入したことで、外国人利用者が介護スタッフに自分の体調を正確に伝えられるようになり、より適切なケアが提供できるようになったという成功事例もあります。
3-2.文化の違い
外国人利用者の介護では、文化の違いも大きなポイントになります。例えば、日本ではお風呂に浸かる文化がありますが、シャワーで済ませる国もありますよね。また、食文化も多様で、「味噌汁は苦手」「辛いものが好き」「ベジタリアンだから肉は食べない」など、人それぞれです。宗教的な戒律で豚肉やアルコールを避ける方もいるので、事前のヒアリングが欠かせません。
さらに、日本では「お年寄りは敬うべき存在」と考えられることが多いですが、国によっては「自立が大事」とされ、過度な介助を嫌う人もいます。こうした違いを尊重しながら、介護の在り方を調整する必要があります。
4.現場での工夫と成功例
言葉の壁を乗り越えたケース
ある施設では、英語、中国語、ベトナム語など多言語対応の「指差し会話シート」を導入しました。「痛い」「トイレに行きたい」「寒い」などの基本的な言葉を絵と一緒に表示し、利用者が指を指すだけで意思を伝えられるようになっています。
また、異文化理解の研修を定期的に開催し、スタッフが実際の国別の文化や宗教、介護の考え方について学ぶ機会を設けています。これにより、外国人利用者との関係がスムーズになったという声が増えています。


まとめ:介護現場の多文化共生を進めよう
日本の介護現場も、多文化共生の時代に突入しています。言葉の壁を乗り越える工夫や、食事・生活習慣への配慮を行うことで、外国人利用者が安心して暮らせる環境を作ることができます。
また、介護スタッフの側も、外国人利用者と接することで新しい文化を学ぶことができ、視野が広がる機会になります。例えば、ある介護施設では、イスラム教徒の利用者に配慮し、礼拝スペースを設置しました。スタッフもイスラム文化について学び、断食期間中の食事提供時間を調整するなどの工夫を行いました。これにより、利用者が安心して介護サービスを受けることができるようになり、スタッフ自身も異文化理解を深めることができました。文化の違いを楽しむくらいの気持ちで対応していくと、介護の現場ももっと明るくなるはずです。


おわりに:これからの介護をもっと良くするために



外国人利用者の介護は、最初は戸惑うこともありますが、ちょっとした工夫で改善できます。何より大切なのは「相手を理解しようとする気持ち」なんですよね。
これからも、多様な利用者に寄り添いながら、みんなが安心して暮らせる介護を目指していきましょう!